まったく別のチームではあるものの、エルサルバドル戦からの継続として久保建英を守備的負担の少ないトップ下に据えた4-2-3-1で臨んだ日本。待っていたのは真剣勝負の場にふさわしくない者たちの退場を促すような結果でした。

まず前半19分に原輝綺、前半21分に中山雄太が立て続けにイエローカードをもらって以降、チリのプレー強度は高まり、逆に日本は劣勢に立たされます。

そして前半41分にチャルレス・アランギスのコーナーキックからエリック・プルガルのヘッドで先制されます。大迫敬介は飛び出すべきか一瞬迷ってしまい、中途半端なポジションでシュートを受ける格好となりました。

リードが2点に広がったあと、残り約25分の時点で、親善試合で選手のテストをするかのようにサイドアタッカーとして三好康児、安部裕葵が送り込まれます。三好は一度いいパスを繰り出したものの、2人とも存分に働けたとは言いがたいプレーに終始しました。

2列目がそのように機能していない状態では岡崎慎司が最前線に入ったところでチームが変わるはずもなく、後半37分、後半38分と立て続けにゴールを許し、初戦を終えた段階で、早くもグループ3位の成績上位に立っての突破を難しくしてしまいました。

岡崎と代わる後半34分までプレーした上田綺世は、4、5回にも及ぶシュートチャンスに恵まれながら、それを一度も生かすことができませんでした。ストライカーとして最後のところでの狡猾さ、貪欲さに欠けました。ピンチに陥ったはずのガブリエル・アリアスはまったく慌てていませんでした。

個々に目をやれば、キャプテンを務めた柴崎岳はその責任を果たそうとしていて、ディフェンスでの貢献度も比較的高く、また久保は臆することなくプレーし、ゴールに迫るシーンもありました。

とはいえチームとしては特筆すべきことはなく、20年前、当時のフィリップ・トルシエ監督がベテランの主力メンバーに見切りをつける結果となった同大会の経験も、さらには5年前、同じ国で開催されたワールドカップでの経験、反省も生かされていたようには見えません。日本が南米で公式戦を戦う難しさを十分に理解しないままキックオフを迎え、90分を無為に過ごしてしまいました。

本来フル代表が参加できる大会に東京五輪を目指すチームを送ることにした意味はあったのか。通常のインターナショナルマッチウィークに森保一監督が兼任している両方のチームを同時に率いることは不可能であり、また今回はフル代表のメンバーを十分に集められない事情もあって貴重な場をアンダーの代表に差し出したわけですが、残り2試合の出来いかんではその点があらためて問われることになるかもしれません。