大崎玲央の裏――。

両ウイングがタッチライン際まで広がる横浜は、右サイドバックに起用されている背番号25の背後を執拗に狙っていました。台所事情の苦しい神戸の吉田孝行監督が西大伍をより攻撃に絡める右サイドハーフに使ったため、大崎はその後方、最終ラインのサイドを任されます。

可変式のシステムというわけではなく、純粋な4バックを敷いており、攻撃時にはセンターバックを残して高い位置をとることを求められるサイドバックで、上下動の繰り返しに苦しむ大崎は格好の餌食となりました。

横浜の先制点は左ウイングの遠藤渓太が抜け出し、大崎は首を上げた状態で追いかけるのを途中であきらめざるを得なくなります。遠藤のパスを受けたマルコス・ジュニオールは、ゴールにパスを送るようにボールを押し込みました。

2点目も同じサイドから生まれます。上がってきたティーラトン・ブンマタンがファーに入れたクロスを李忠成が難なく決めました。大崎は腕を伸ばしてつかんででもティーラトンをつかまえようとしましたがかないません。

大崎に代えて渡部博文を入れたのは残り10分となってから、それも最後の交代枠でした。もはや時すでに遅し、です。渡部に代わっても状況は改善することなく、またしても神戸は右サイドを突かれ、三好康児にとどめを刺されました。

李、三好を入れた横浜のアンジェ・ポステコグルー監督の采配が次々当たるのに対し、神戸の交代策ははまらず、橋本和に代えて小川慶治朗を右サイドハーフとして送り込んでからは西が左サイドバックにまわることになりました。ボランチでのプレー経験もある西ですが、いつもとは反対の景色を見ながらのプレーはどこか窮屈そうでした。それまでは相手陣内でのダビド・ビジャとの連携に活路を見いだせそうだっただけに、もったいないコンバートになりました。

結果、アンドレス・イニエスタ、ルーカス・ポドルスキを欠くなか、アウェイで現実的な策をとることなくとにもかくにも果敢に前に出ようとした神戸は、横浜が神戸につき合って中盤にぽっかりスペースができ、互いに相手ゴールへと行き来するオープンな展開になった後半の序盤に得点を奪うことができず、ウェリントンが後半アディショナルタイムに一矢報いるのが精一杯。あえなく返り討ちに合った格好で、この泥沼から抜け出す方法がわからないまま試合を終えることとなりました。

これで15位に落ちた神戸。前日にサンフレッチェ広島を下した17位のサガン鳥栖との勝ち点差はなくなり、J2降格圏にさらに近付いてしまいました。