前半35分の長谷川唯、そして後半24分の中島依美と横山久美の冷静なプレーで2得点を奪えたため、沈黙して終わりはしませんでした。ただ、どちらもドイツのゴールを守るアルムト・シュルトのミスによってもたらされたプレゼントのようなゴールでした。日本は流れの中ではあまり決定機をつくることができず、攻撃面で大きな手ごたえをつかめたとは言いがたい試合でした。

前線は最初トップ下を務めた長谷川とサイドの中島が比較的自由に動いて流動性を高めていました。そこに杉田妃和も絡んで厚みのある攻撃を仕掛けたいところでしたがほとんど機能しません。

攻撃が詰まり気味になる分、劣勢に立たされる場面は必然的に増えます。前半終了直前には人数をかけてドイツ陣内を攻略しようとしながらフィニッシュまで至らなかったことでカウンターを食らいました。

この日の日本のディフェンスは読み、予測にすぐれた熊谷紗希の体を張ったプレーだけでなく、平尾知佳の再三にわたる好セーブが光りました。平尾はこれで一気に第2GKのポジション争いで優位に立てたはずです。

そうした中で奪われたふたつの失点は、ともにサイドからのクロスボールがきっかけでした。後半8分のアレクサンドラ・ポップのヘディングにつながる攻撃では、鮫島彩が1対2の局面をつくられ続けたためにクロスを阻止できませんでした。

横山のゴールで勝ち越した3分後の同点弾は、清水梨紗に代わって宮川麻都が右サイドバックに入った直後のことでした。代わりばなを突かれると、平尾が競り合いの中でボールをキャッチしきれず、スベニャ・フートのフィニッシュを許してしまいました。

ドイツがセットプレーの大半を変化をつけたものにしたため、リスタートでの制空権争いにおける苦戦はあまりありませんでした。しかし本大会では、相手が高さとフィジカルの強さを生かして空中戦を挑んでくる機会は多くなると予想されます。

終盤のドイツの猛攻はなでしこらしく凌いで逆転負けを回避しました。これで女子ワールドカップメンバー発表前の試合はすべて終わりました。

前の試合から継続してスタメンを張ったメンバー、そしてフランス戦は先発で今回は後半最初に投入された横山と小林里歌子は今後負傷さえしなければ、本大会のメンバー入りは確実と思われます。また残り7分のところで投入された猶本光は1対1の守備での当たりの強さを見せ、代表生き残りの可能性を残しました。

今年に入ってからの強豪国との対戦を見ても、8年ぶりの優勝を達成するとなると、チームとしてもう一段階思い切りのよさとプレーの正確さを上げる必要があります。これは直前合宿でどこまで練度を高められるかにかかってきます。