2点のビハインドを背負った後半の神戸は、残り時間があと15分くらいしかないかのように攻撃に大きく舵を切りました。相手DFとの駆け引きに長けたダビド・ビジャが違和感を覚えて前半41分に退き、188cmのウェリントンが入ったのを生かすべく、5枚の松本DFの外に構えたサイドバックとウイングによるクロスを主体に攻め始めます。

ただしそればかりでは単調になるため、次第にアンドレス・イニエスタを使った中央からの攻めも織り交ぜます。前半は窮屈な中でラストパスのひとつ手前のパス出しを担う場面が多かったイニエスタも、ゴールにより近いところでプレーをするようになりました。みずからシュートを打ったり、中盤から一気にウェリントンに浮き球を供給したりするなど決定的な役割をしだします。

神戸がグラウンダーのパス主体のサッカーからやり方を変えたことで、松本は前半のように5-4-1のコンパクトなブロックで守ることができなくなります。その結果、辛抱強くカウンターのチャンスをうかがうというよりは、神戸にお付き合いするようにスピードが武器の前田大然をはじめ、もう1点を奪いに行く姿勢を前面に出しました。

互いにゴールを強く意識したサッカーとなり、ゲームとしてはスリリングになりました。神戸の最後尾では序盤に宮阪政樹のフリーキックを処理し損ねた前川黛也が、挽回すべく好セーブを披露。3点目は奪われません。

クロスを連発する神戸の猛攻が実ったのは後半30分でした。右サイドにまわった古橋亨梧のクロスをウェリントンが今井智基をはがして頭で決めます。

その後、ペナルティエリアでそれほど露骨ではないもののハンドと思われるプレーが松本にありましたが、上田益也主審の笛は鳴りません。同点に追い付くチャンスになるかという場面だけに、神戸の選手は一斉に抗議をしました。

さらにレアンドロ・ペレイラが神戸陣内でボールが手に触れたシーンも流されてしまいます。試合の流れを変えるほどのプレーではありませんが、神戸サイドがナーバスになるには十分でした。

直後に高崎寛之のレアンドロ・ペレイラとの交代もあり、そこから松本はようやく残された時間を大切に使いだしました。熱狂的なサポーターの後押しに従って勇敢に戦った選手たちもプレー速度を落として時計の針を進めます。

一方の神戸はダンクレーこそ上がらないものの、イニエスタを飛ばした直線的なロングボールによるパワープレーにシフト。ウェリントンめがけて放り込みますが最後まで同点弾は生まれませんでした。

松本はこれで連敗を3でストップ。神戸は開幕戦以来となる公式戦での黒星となりました。