両手までは使わなくてよかったものの、前半のコロンビアは片手で数えるくらいのつまらないミスがありました。集中力の高い試合では起こらないようなキックミスでいとも簡単にタッチラインを割っていました。エースのラダメル・ファルカオにもワールドカップで見せたような獰猛さは感じられません。

立ち上がり早々、なぜか日本陣内でフリーになれたハメス・ロドリゲスからルイス・ムリエルに展開、クロスが入ってセバスティアン・ビジャが飛び込んだシュートがクロスバーをヒット。ここで1点を奪えなかったにもかかわらず、前半のコロンビアは特段ギアを上げてきませんでした。

対する日本はロシアで10人のコロンビアにしか勝っていないもどかしさを少しでも払拭したい、さらにワールドカップに出られなかった選手は6万人以上のサポーターが詰めかけたホームでそのチームに結果を出したいと躍起になっているようでした。

森保一監督になって台頭した2列目の堂安律、南野拓実、中島翔哉はその傾向が強く、ペナルティエリアまで攻め切ってフィニッシュするのではなく、ダビンソン・サンチェス、ジェリー・ミナというプレミアリーグ所属のセンターバックを警戒してか、その手前、ミドルレンジからのシュートを選択します。活きがいいこと、シュートで終わることは悪いことではないとはいえ、決して得点の可能性を高める攻撃ではありませんでした。

それゆえややゆったりしていて、ボールを奪われるとすぐに中盤を放棄してでも深い位置に下がるコロンビアの隙をつくことができず、また、中島のやさしい弾道のクロスに鈴木武蔵が合わせたシュートもヒットしなかったためゴールには至りません。

結果として前半のうちに得点を奪えなかったことが仇となります。ハーフタイムでこの日初采配のカルロス・ケイロス監督の檄が飛んだか、後半のコロンビアは集中力を高めて日本ゴールに迫ってきました。

そしてそれがPK獲得につながったと言えます。冨安健洋がハンドのファウルを犯したかどうかはスロー映像で確認しても微妙で、VARが使われていれば違った結論になったかもしれませんが、いずれにしてもコロンビアの攻撃に屈した形になりました。

PKはその前から手を使ってでもゴールを奪いたくなったファルカオが決め、日本は1点ビハインドとなります。鈴木に代わって香川真司がピッチに立つ前のできごとです。

セーフティーリードだと考え、MFとDFの間をよりコンパクトにしたコロンビアに対して、ホームで結果を求めた森保監督は堂安に代えて乾貴士、さらに守備的な役割を担っていた山口蛍に代えて攻撃センスの高い小林祐希を送り込みます。タイミングが遅かったものの後半44分には安西幸輝も入りました。こうしたメンバー構成は相手がそれほどがむしゃらには来ないために許された選択です。

それでも追い付くことはできません。香川と乾のベテランコンビの力をもってしても、小林のアイデアを発揮したプレーでもネットは揺らせません。そんな中、責任を感じた冨安は機を見て前に出ていき、コーナーキックではヘディングシュートが決まらないと非常に悔しがりました。

焦る日本をよそにダビド・オスピナ不在のゴールを守るカミロ・バルガスは残された時間を有効に使い、周囲もそれに呼応して無難に逃げ切りを図りました。乾と香川を中心としたショートコーナーにも決して慌てません。

日本は決定機と呼べるほどの攻めもほとんどなく、無得点で試合を終えました。親善試合ということで力のさじ加減が絶妙だったコロンビア相手に、どんな試合でも頑張る日本らしいサッカーで挑むも結果は残せませんでした。