シュート数はイングランドの10本を上回る16本を記録しながら、枠内シュートは相手と同じ4本。イングランドはその4本中3本をゴールに結び付ける効率的な攻撃ができたのに対し、日本は無得点に終わりました。惜しかったのは小林里歌子が後半に放った強烈な2本でしたが、いずれもカーリー・テルフォードに阻まれました。

ベンチ入りメンバーが8人しかおらず、経験豊富な熊谷紗希、中島依美がベンチ外という状況で迎えた最終戦。前半の45分間はとりわけ消極的な安全第一のプレーに終始してしまいました。ブラジル戦でも見られた傾向ですが、どこか遠慮がちでパスにも力強さがなく、逆に時折パワフルなロングキックを蹴り込む相手に押し負けてしまいました。

3失点のうち2点は中盤で杉田妃和が相手の配球を阻止しきれずに前線に展開されて奪われたもので、もう1点は日本が前の試合で成功させたスローインからのゴールでした。自分たちができたことを対戦相手にやられてしまった格好です。

思い切りの悪かった選手はハーフタイムでピッチから退くことになりました。ブラジル戦では効果的な守備をしていた大賀理紗子もこの日は最後の局面で体を張り切れず、センターハーフを務めていた松原有沙にポジションを譲ることとなります。

高倉麻子監督の采配は一時的には吉と出て、横山久美、籾木結花といった中盤から前でボールを持てる選手が前に入ったことで周囲も動きやすくなり、キーラ・ウォルシュをアンカーに配して4-1-4-1のブロックを敷いていたイングランドの守備網を少しずつ乱して攻略できるようになりました。

しかしそれを見抜いたフィル・ネビル監督はウォルシュを下げて、4-2-3-1にシステムを変更。真ん中は3枚から1枚減らしたものの、2枚のセンターハーフをより深い位置に置いてMFとDFのライン間を狭めます。

高さ勝負で分が悪い日本は、単純にクロスを上げてもはね返されることが容易に予想される中、崩し切ってのフィニッシュも少なく、狙ったシュートはそのほとんどが枠を外れました。後半の早い段階で決定機をつくれていれば、一矢報いることも可能だったはずです。

やがて時間の経過とともに長谷川唯や杉田が相手の裏を突いてボックス内へ入ろうとする動きをさかんに見せたものの、そこにはボールは供給されず、動きの少ない選手間でボールを回すにとどまるシーンが多く見られました。

いまひとつ大胆さを欠いた日本にとっての救いは、後半も中途半端なプレーから再三ピンチを招きながら、相手のシュートミスに助けられて失点を増やさなかったことくらいです。この試合に関してはミドルゾーン以外の敵陣、自陣両方のプレーに迫力がありませんでした。

2試合をこなして結果を出し、いい流れで大会を制して、トップレベルの大舞台での経験の少ない選手たちが自信を深めるビッグチャンスだっただけに悔やまれてならない戦いぶりでした。

直前の準備期間を除くと、本大会までに残された試合は4月のヨーロッパ遠征のみとなりました。フランス、ドイツというイングランドよりもFIFAランキングで上位にいるヨーロッパ勢とのアウェイゲームになりますが、なでしこジャパンの世界一奪還のために今回受けたダメージをいかに糧にできるかが問われることとなります。