成長著しいアイスランドのバイキングクラップを模倣した大勢のイランサポーターの後押しもあり、今までとは一段階も二段階もプレースピードの違う緊張感の高い試合になりました。それでも日本は確実に得点を奪って3対0で勝利を収めました。

要警戒だったサルダル・アズムンに対しては、吉田麻也、冨安健洋がしっかりついて自由を与えませんでした。これが結果的に時間の経過とともにアズムンの苛立ちへとつながり、これまでディフェンスが不安定だった日本がシャットアウトできた大きな要因となりました。

ロングスローや自陣ゴール前でのセットプレーも集中が必要でしたが、もっとも危なかったのは権田修一のパスミスをきっかけにしたイランの前半の攻撃くらいで、このときのアズムンのシュートは原因をつくった権田が足を延ばしてセーブしました。

攻撃はスタメン復帰の大迫勇也が適切なポジションどりをしてチームの潤滑油となり、ときには相手陣内の深い位置まで走る長友佑都にスルーパスを繰り出すなど、まわりの選手が動きやすい状態をつくりました。

イランは日本をリスペクトしすぎたのか、ポゼッションにすぐれたスペインを相手にしているのではないのにしばしばサイドアタッカーが最終ラインまで下がり、5枚ないしは6枚になっていました。ゴール前のレーンは埋めたとはいえ、結果的に中盤にスペースができやすくなり、柴崎岳も苦労することなく比較的自由にボールを持つことができました。

こうしたことからシュート数が前後半通じて7本と多くはなかったものの、日本がミドルゾーンで攻めに行き詰まる場面は準々決勝までと比べると少なくなりました。

悪くない流れの中、光ったのが南野拓実の冷徹さです。後半11分、モハマド・カナニに倒されてもプレーを止めず、イランの選手たちがレフェリーに抗議に向かうのを無視。ゴールラインに向かって転々とするボールを追ってクロスを入れ、大迫のヘッドをアシストします。

さらにそこから10分経たないうちに今度はエリア内でモルテザ・プーラリガンジのハンドを誘発。PKを獲得します。ここも大迫がアリレザ・ベイランバンドの逆を冷静に突いてきっちり決めました。

後半アディショナルタイムの原口元気のドリブルからのゴールも、柴崎の縦パスを受けて原口に預けたのは南野でした。得点こそありませんでしたが、2点リードしたあとに攻守のバランスが崩れたイランに対して堂安律とカウンターを試みるなど、南野は最後まで見事な働きをしてくれました。

有意義でいいことづくめの結果となりはしたものの、攻守にわたって非常に貢献度の高かった遠藤航と酒井宏樹がともにプレー続行不可能になりピッチを去らなければならなくなったことが気がかりです。

ともあれアジア最強と言われるイランを下して、日本は決勝進出を果たしました。2大会ぶりの王座を目指し2月1日の最後の決戦に臨みます。