熱狂的なサポーターに後押しされた伸び盛りのベトナムは5-4-1の形をとるとはいえ、トルクメニスタンほどに圧縮されたブロックではなく、選手間の距離にやや開きがあって中盤とDFの間にはスペースが存在しました。それでもライン間に適切なポジションをとる日本の選手が少なく、思うようにゴールに迫ることができませんでした。

ただ、柴崎岳にとっては得意のパスが通しやすいシチュエーションで、吉田麻也のシュートがVARで取り消されたコーナーキックにつながった場面は、柴崎から北川航也へのボールがスイッチになりました。

こうしたチャンスはあまり多くつくれないまま時間が経過しました。逆に誰も守備をしていないのかと思うほどいとも簡単に中盤を突破されるカウンターを食らって、最前線のグエン・コン・フオンに収まるシーンが数多く見られました。このあたりは前半が終わるまで修正が効きません。

また権田修一、吉田のところでボール処理にミスが出て大ピンチを迎えてしまい、バックパスの際、守備陣のボールを受けるためのポジショニングに難があることを露呈しました。ここは後半も引き続き相手に狙われます。

エンドが変わると日本が積極性を前に出し始めました。勢いに乗って遠藤航のミドルシュートがダン・バン・ラムを襲い、そのあとには中央に絞っていた原口元気のパスを受けた堂安律がブイ・ティエン・ズンに足を踏まれて倒され、結果的にVARによってPKを獲得。堂安がしっかりと決めて得点を奪います。

1点ビハインドの中、歴史的快挙を達成すべくベトナムがラインを上げて、選手を先に代えて攻撃に重きを置きだしましたが、アジアカップでの実績、経験の差と言うべきか、日本が前半よりは危なげなく凌ぎ切ります。欲を言えば、堂安、そしてまだゴールのない南野拓実のコンビでショートカウンターを成立させられればより楽に試合を運べたはずです。

後半27分には北川に代わり大迫勇也が初戦以来の出場を果たし、残り2試合に向けて慣らし運転をすることができました。25分間程度、大迫が普通にプレーできたことは好材料です。

終盤のベトナムのパワープレー気味のシンプルな攻撃をも粘り強く封じて、日本は準決勝に進出。今度の相手はハイレベルな難敵イランとなりました。