サンティアゴ・ソラーリ監督が準決勝とまったく同じベストの11人を送り込んだレアルは、フレンドリーマッチでプレーしているがごとく無理の少ない堅実なサッカーで優勝を手繰り寄せました。そういう意味では決してスリリングだったと言えるようなファイナルではありませんでした。

前半13分、マルセロのバックパスが致命的なミスとなり、前方が開けた状態でボールを拾ったアル・アインのフセイン・エル・シャハトが先制するかと思われた場面。ティボー・クルトワが前に出てがら空きのゴールのカバーに入った選手のうち、セルヒオ・ラモスが防いだことによって、試合の流れはレアルに傾きました。ここでアル・アインがリードできていれば、レアルもヨーロッパ王者の意地とプライドをかけ、強度を上げて戦わざるを得なかったでしょう。

現実は、ほどなくしてルカ・モドリッチが鮮やかなシュートを決めて先制。リードを奪ったエル・ブランコは以降の3得点を流れの中からではなく、いずれもセットプレーを起点にしてゴールを重ねました。

2点目はコーナーキックからの競り合いでこぼれたセカンドボールに反応したマルコス・ジョレンテのハーフバウンドのボレー、3点目はモドリッチのコーナーにセルヒオ・ラモスが高い打点で合わせたヘッド。最後は自陣からのフリーキックをスペースで受けたビニシウスのクロスがヤヒア・ナデルのオウンゴールを誘いました。

合計13本と果敢にシュートを放ったレアルのスター、ガレス・ベイルと1トップのカリム・ベンゼマの両名に得点はありませんでしたが、トニ・クロースのコーナーキックに直接合わせたモドリッチの一撃も防いだハリド・エイサのファインセーブがなければ、さほど貪欲ではなかったレアルがさらにリードを広げられたかもしれません。

ファイナリストとして恐れることなく勇敢さをもって挑んだアル・アインは、若干レアルの緩い動きに合わせてしまった部分があり、3点ビハインドを背負った後半41分、カイオのフリーキックに対してニアサイドにフリーで走り込んだ塩谷司の1点どまりとなりました。

レアルはこれで大会三連覇を達成。危機的状況のチームを引き受けたソラーリ監督は無事に初タイトルを獲得しました。