今シーズンのチーム事情から少なくともこの試合が絶対に落とせない状況にあるからか、あるいはアル・アインが決勝進出したことでアジア勢との2連戦となったことを考慮したのか、サンティアゴ・ソラーリ監督は準決勝の段階からベストメンバーをピッチに送り込みました。

クラブワールドカップでヨーロッパ勢が準決勝を戦うときには、比較的選手を温存して決勝に余力を残す選択をするケースが多い中でのこの決断は、レアルにとっては吉と出ました。

ただ、ソラーリ監督の意図に反してなのかはわかりませんが、選手たちはギアを上げずに戦いを始めます。その隙をついて前半2分にセルジーニョがきわどいシュートを放ってティボー・クルトワを襲い、直後の遠藤康のコーナーキックは昌子源が触れば1点というチャンスになりました。

これを継続して先制したい鹿島でしたが、手ごたえを感じていた様子だったもののクロスやシュートの精度を欠いたために決定機をつくれず、先発起用した安部裕葵を生かすことができないまま時間が経過しました。

前半44分、ここまでのレアルの中で唯一機能していたマルセロとガレス・ベイルのラインから欧州王者がゴールを奪います。悪くないムードだっただけに鹿島としては嫌な時間帯での失点となりました。

後半、大岩剛監督は打って出るために内田篤人を投入し、西大伍を天皇杯準決勝と同じくボランチに配します。

流れが完全にレアルに傾いたのは、山本脩斗がルーカス・バスケスを倒してイエローカードをもらって以降でした。山本を追い込むべく鹿島の左サイドを狙い続けたレアルの術中にはまり、山本のバックパスが乱れ、チョン・スンヒョンの選択もミスとなり、ベイルに追加点を許してしまったのです。こうしたミスを逃さないあたりは、昨シーズンのUEFAチャンピオンズリーグのファイナルを想起させます。

ミスによる失点、そして2点をはね返すことの難しさを感じてナーバスになった鹿島を前に、ディフェンディングチャンピオンはここで一時的に全体のギアを上げます。後半11分、とどめとなる3点目を奪いに鹿島陣内に一気に人数をかけ、最後はベイルがハットトリック達成となるゴールを決めました。

こうなると余裕の出てきたレアルと落ち込んでいる鹿島の差は歴然としたものになります。ソラーリ監督はベイルとルーカス・バスケスを休ませ、マルコ・アセンシオとイスコを投入。アセンシオが筋肉系のトラブルで退くという誤算はあったものの、試合を終わらせる采配をしました。

鹿島はレオ・シルバの絶妙な浮き球のパスを遠藤が頭で落とし、土居聖真が粘って1点を返しはしたものの反撃もここまで。レアルとの再戦は痛い結果となり、リーベル・プレートとの3位決定戦にまわることとなりました。