事実上の決勝ともいえる鹿島アントラーズとの準決勝を制した浦和は、完封勝ちで危なげなく仙台を退けて見事に優勝を果たしました。

初めてのタイトルを目指す仙台はキックオフと同時に多くの選手が前に出ていき、大きな展開でゲームを進め、ひとたび守備にまわると泥臭くボールを狩りました。しかしその時間は長くは続きません。

前半13分、コーナーキックを担当する柏木陽介はマウリシオ不在もあってか、準決勝で成功したファーサイドへのキックではなくショートコーナーを選択。長澤和輝が入れたクロスは野津田岳人に弾き返されますが、野津田はクリアというにはあまりにも小さく前方に出してしまいます。それを宇賀神友弥に狙われ、豪快なシュートを叩き込まれました。背番号3には石原直樹が寄せていましたが防ぎ切れません。

リードしてからは事実上ほぼ浦和のペースで時計が進みます。鹿島戦の先制後同様に前からの圧力をやや強めるようになり、自陣では阿部勇樹、槙野智章をはじめとした経験豊かな選手たちが中央を強固にしてかまえます。局面打開のため何度か左サイドから中野嘉大がドリブルをしかけますが、ラストパスは完璧に浦和の守備陣が阻止しました。

仙台にとってはペナルティボックスへの侵入が非常に難しく、手詰まりになってはボールを下げるシーンがたびたび見られました。前半のアディショナルタイムでは浦和に奪われてからのカウンターを必要以上に警戒したのか、ミドルゾーンで弱気なボール回しをしてしまいました。

後半になるとロングボールの処理を誤って宇賀神に追加点を許しかねないピンチを招いた平岡康裕が、委縮してしまって浦和に数回狙われました。ただ、幸いにも失点にはつながらずに済みます。

難を逃れて1点を追いかける仙台はゴール付近でのフリーキックのチャンスが何度かあったものの、エリア内での決定的なシュートは90分を通じても一度しかありませんでした。椎橋慧也が絶妙な浮き球を入れて、それを前線に顔を出した野津田が懸命に頭で合わせたシュートです。このときのボールは無情にもゴールの枠を外れていきます。

後半40分ごろからは浦和は相手陣内の深いところで無理に攻めない戦い方を選び、5分のアディショナルタイムを難なく凌いでウノゼロで締めくくりました。

ホームの環境で戦うことができ、熱狂的なサポーターの後押しも得た浦和は、シーズン途中に就任したオズワルド・オリヴェイラ監督のもとタイトルを獲得。来シーズンは2年ぶりにアジアの頂点を狙う戦いに臨むことになりました。