コロンビア戦で思ったほど体力を消耗しなかったからなのか、はたまた8年前の南アフリカ大会と同様にほかに打つ手がないのか、前の試合とまったく同じスタメンで臨んだ日本は難敵セネガルに二度リードを許しながらも執念でドローに持ち込みました。

この試合でもっとも躍動していたのは柴崎岳でした。スペインでもまれた背番号7は的確にボールを散らし、ゲームをコントロールして効果的な攻撃をつくりだすのに貢献していました。キックオフ直後こそ脅しのようにハイプレスをかけてきたセネガルでしたが、その後は落ち着き、柴崎へもそれほどタイトに来なかったのも救いでした。

最初に同点に追い付いた前半34分の乾貴士のゴールは、柴崎が中央から左サイドの長友佑都に展開したところから始まりました。長友はファーストトラップでムサ・ワゲをかわし、そこで乾にスイッチしたことで得点につながりました。

さらに後半15分には右サイドに流れて低いクロスを入れ、大迫勇也が合わせればというチャンスをつくりだし、また後半43分の本田圭佑のクイックリスタートを受けたときにもクロスを供給します。

柴崎は守備でも3列目の選手として働きました。最終的にファウルにはなりましたが、前半26分には日本の左サイドをドリブルで突き進むエムベイェ・ニアンにしぶとく食らいついて攻撃を遅らせました。

そして再び1点ビハインドになり追い込まれた日本を生き返らせたのが、本田でした。後半33分、大迫のクロスによってゴール前で混戦となり、こぼれたボールを乾が拾ってマイナスのボールを入れると岡崎慎司がつぶれ役となってカディム・エンディアイエを封じたことで流れたところを仕留めました。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督のサッカーに服従することを拒んだ男が、厳しい局面でチームを救いました。

終盤は勝ち点3をとりにきたセネガルがパワープレーを実行。苦手な形に苦しめられましたが、大迫も戻って対応するなどして乗り切りました。もちろんそこまで懸命に跳ね返していた吉田麻也、終始ニアンとのデュエルを余儀なくされた昌子源、そして空中戦にも対応した酒井宏樹は最後まで集中して守っていました。

そうした中で悔やまれるのは、やはり前半11分の失点シーンです。ワゲのクロスがファーサイドに流れた際、フリーな状況だったにもかかわらず原口元気が中途半端なクリアをしたことでユスフ・サバリにいとも簡単にボールを明け渡しシュートを打たれます。これを川島永嗣がパンチングすると、目の前にいたサディオ・マネに当たってゴールネットを揺らされてしまいました。

ただ、引き分けとはいえ追い付いて終えた試合なので、日本としてはポジティブに考えられる結果でした。グループリーグ最終戦はすでに敗退の決まったポーランドが相手です。これ以上先に進めないポーランドがどのようなモチベーションで、選手たちで臨むのかはわかりませんが、とにかくこの機会を逃さず、ひたすらにひたむきに戦い抜いてイングランド、あるいはベルギーの待つ決勝トーナメントに進むしかありません。