前半半ばまではすばやい囲い込みで日本の選手にスペースと余裕を与えず、後ろ向きにプレーさせたスイスでしたが、本大会のブラジル戦前最後の試合ということもあってか、ホームとはいえトレーニングのような無理をしないプレー強度に落ちていきます。

対する日本はガーナ戦で機能しなかった森保式の3-4-2-1ではなく、本田圭佑をトップ下に据えたなじみのある4-2-3-1を敷き、メンバーをそろえて勝ちに行く姿勢を見せていました。両者の間には明らかな温度差がありました。

それでも勝てないのが新体制の今の日本。枠をとらえたシュートは決して少なくなかったものの、前半25分の長谷部誠のロングシュートも、前半33分の大島僚太の左足ミドルも、その5分後の本田のシュートも、さらには後半26分にカウンターで3対3の状況をつくってからの原口元気のシュートもすべてロマン・ビュルキの正面でした。

ガーナ戦で多少見られた前任者の遺産ともいえる後方からのロングボールを使っての散らしはほとんどなくなり、前線の個の力、想像力に大きく依存したつなぎ、崩しは、中央をがっちり固めるスイス相手にはまるで通用しません。原口、宇佐美貴史の両サイドの仕掛けの意識も低いままで、おそらく目指しているであろうやりたいサッカーはその片鱗すら見せられませんでした。

まったく可能性を感じさせない攻撃に終始する中、日本は簡単に2失点を喫しました。前半40分、ウクライナ戦同様に酒井高徳がブリール・エンボロにあっさり振り切られてしまい、後方にいた吉田麻也がファウルを犯してPKを与えてしまいます。これをリカルド・ロドリゲスに豪快に決められて先制を許しました。

2失点目は後半36分に柴崎岳のコーナーキックが合わなかったところから始まります。ボールを回収することができずに難なく、それもあまりスピードのないカウンターを発動され、流れの中で左サイドを走ったジェルダン・シャキリのクロスをフランソワ・ムバンジェが折り返し、最後はハリス・セフェロビッチが押し込みました。

それ以外でも川島永嗣と吉田の連携が不十分でピンチを招いたり、川島のスローイングがシャキリにカットされてもう少しでループシュートを決められそうな場面もありました。

日本は攻守両面においてポジティブな要素がないまま、今回出なかったメンバー中心にパラグアイとの試合をこなし、ワールドカップに突入することになりそうです。