やはりレアルは強かった。大一番でわずかな隙を見逃さず、確実に仕留める力はさすがとしか言いようがありません。

立ち上がりこそリバプールがゲーゲンプレッシングを発動させ、エル・ブランコは混乱に陥りました。クリスティアーノ・ロナウドやカゼミーロがボールロストし、思うようにパスを回すことさえできませんでした。

そしてモハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネという破壊力抜群の3トップがレアルゴールに襲いかかってきました。前半6分、ジェームズ・ミルナーの変化をつけたフリーキックを受けたサラーがゴールを狙い、2分後にはアンドリュー・ロバートソンのクロスにフィルミーノが頭で合わせます。

それでも準決勝のバイエルン・ミュンヘン戦でもチームに大きく貢献したセルヒオ・ラモスとケイロル・ナバスを中心にリバプールの怒涛の攻撃を凌ぎ、前半の半分を乗り切りました。

流れが変わったのは、イスコがファウルを誘って耐えていた時間帯でのことでした。前半26分、セルヒオ・ラモスがサラーの腕を引っ張り、サラーが肩を負傷。プレミアリーグ得点王がピッチを離れなければならなくなりました。

貴重な得点源を失ったリバプールが動揺して激しいプレッシャーをかけられなくなったこともあり、ここからレアルは主導権を取り戻して、サラーのいなくなったサイドを積極的に使っていきます。前半45分にはカリム・ベンゼマのクロスを負傷離脱したダニエル・カルバハルに代わって出てきたナチョがファーで合わせました。

前半は0対0のまま終わりましたが、試合は思わぬ形で動きます。後半6分、ロリス・カリウスが転がそうとしたボールにベンゼマが足を出し、そのボールがゴールに吸い込まれていったのです。準決勝2ndレグでバイエルンのスベン・ウルライヒのミスを逃さなかったように、背番号9はここでもしたたかに得点を奪いました。

4分後にコーナーキックからマネの得点で同点に追い付かれはしますが、またしてもジネディーヌ・ジダン監督の采配が的中します。状態のよかったイスコに代わって後半16分に入ったガレス・ベイルが大仕事をやってのけたのです。

まずは後半19分、マルセロの右足のクロスに対してオーバーヘッドでゴールを決め、勝ち越しに成功します。ジダン監督が現役時代、レバークーゼンとのチャンピオンズリーグ決勝で決めたボレーシュートに匹敵するほどのスーパーなゴールでした。

さらに後半38分、フリーの状態でミドルシュートを放ち、これをカリウスがキャッチミス。ボールは後方に飛び、試合を決定付ける1点となりました。カリウスは最初にミスをしたあと復調して、イスコやベンゼマのシュートを阻んでいましたが、ここは止めきれませんでした。

またユルゲン・クロップ監督がミルナーを下げてエムレ・ジャンを入れた直後で、シュートレンジの広いベイルに対するリバプール守備陣のケアが足りなかったことも影響しました。

後半48分にはピッチへの乱入者に邪魔をされたこともあり、大会得点王のロナウドにゴールは生まれませんでしたが、レアルは現行のシステムになって初めて3連覇を達成しました。長年積み上げてきたクラブの力が最後まで発揮されたことによるすばらしい優勝です。