勝ち点差は2しかなかったにもかかわらず、どちらがホームチームかわからなくなるような、それほどまでの差が両者にはありました。

動き出しがよく、球際では負けず、最後まであきらめない、ひたむきな姿勢を見せていたのはほぼベストな陣容で臨んだ東京の方でした。永井謙佑、ディエゴ・オリヴェイラの前線での頑張りもさることながら、川崎のパスを阻んだボランチの橋本拳人のボール奪取能力の高さが光っていました。

先発メンバーを大幅に入れ替えることで鮮度を重視した川崎は、4-4-2のブロックを敷いて中を固めた相手に対してゴールへの道筋をつくることがなかなかできませんでした。前半はリーグ戦初先発の齋藤学が果敢にクロスを供給しますが、唯一決まった前半39分の低いボールは、知念慶のシュートがヒットしなかったため林彰洋に難なく押さえられます。

その知念に代わってハーフタイム明けにピッチに入った中村憲剛は、嫌な流れを払拭すべく東京の中盤とDFの間にポジションをとったりしながら広範囲を動き回ります。

後半6分にはバイタルエリアで相手に囲まれながら強引に抜け出し、車屋紳太郎に一旦預けてリターンを受けるとファーサイドにクロスを上げました。そこで待っていた大久保嘉人が頭で合わせますが、角度が厳しく枠にはいきません。

さらに後半9分にはみずからミドルシュートを放ち、林のセーブにあってコーナーキックを獲得すると背番号14はサポーターを煽り、スタンドからの後押しを求めました。

しかしその後も中央は思うように崩せなかったため、車屋や途中出場の長谷川竜也による左サイドからのクロスを主体に攻めるも、いずれも簡単に阻まれてしまい決定的なチャンスをつくることができません。

得点を奪えないまま終盤に突入すると谷口彰悟がしばしば前線に顔を出すようになり、守田英正を最後方に下げて3バック気味にしましたが、これも形にはなりませんでした。

結局、出場停止のチョン・ソンリョンに代わってゴールを守った新井章太が前半45分と後半18分の二度のピンチを防ぎはしたものの、太田宏介の正確なフリーキックから橋本、森重真人に得点を決められ、東京に完敗するという形になりました。

川崎は東京のように相手陣内深いところでのフリーキックのチャンスをほとんど得られず、そのあたりでは東京の守備陣が名古屋グランパス戦とは違って非常に注意深かったと言えます。

ホーム等々力で2試合続けて0対2の完封負けを喫した川崎は5位に転落。中断前の残り2試合でどう盛り返せるか、昨季王者の真価が問われます。