タイトな日程が続く中、ここまでフル出場していたベテランの鮫島彩、阪口夢穂を休ませた日本は、立ち上がりこそ相手陣内で人数をかけてボールを奪うなど順調に試合を進められましたが、時間が経つにつれて苦しい展開になりました。

攻撃はボランチの隅田凛、宇津木瑠美のところでフリーになるものの、そこから先でブロックを敷く中国の中央を思うようにパスで打開することができません。それでもサイドに開いて展開しつつ、中を突破できるチャンスをうかがっていました。

そして少しずつリズムをつかみ始めた前半39分、隅田の縦パスがようやく岩渕真奈に入り、背番号8は豪快に左足を振りぬいて先制点を挙げました。

対する中国は前半19分のコーナーキックなど、セットプレー絡みでしかシュートチャンスをつくれておらず、1対0のままハーフタイムを迎えます。

しかし負ければ決勝に進めないノックアウトラウンドだけに、タイ、フィリピン、そしてホスト国のヨルダンに快勝してきた中国は後半の頭からギアを上げてきました。開始早々にハイプレッシャーをかけるなどして、前半自由にボールを受けていた宇津木を頻繁に狙いました。

後半18分には王珊珊が入り、さらに前への圧力を増してきます。そして次第に日本の中盤とDFの間でボールを受けられる場面が増えだしました。

こうした厳しい状況下でも日本は持ち前の連携で追加点を取りにいきました。後半20分には清水梨紗、宇津木、岩渕とつなぎ、最後は長谷川唯がシュートを放ちます。

加点したのは残り時間が少なくなった後半40分でした。ゆったりとボールを動かしていた中で、途中出場の横山久美が得意のレンジからシュートを打ってゴールネットを揺らします。

横山はさらに後半43分にみずから得たPKを沈め、決勝進出を決定付けました。直後にその横山が王珊珊にファウルをして、反対にPKを与えてしまったものの、それを李影に決められてもなお2点のリードがあったことが救いとなりました。

アディショナルタイムは簡単に前線にボールを入れてくる中国の攻撃を防ぎ、ボールを持った際にはできるだけキープをして時間を稼いで乗り切りました。

連覇をかけた最終決戦は準決勝でタイとPK戦までもつれたオーストラリアとの再戦となります。こちらもタイに逆転されるまでエミリー・バン・エグモンド、サマンサ・カーを温存していただけに最後まで気を緩めることのできない試合となるでしょう。