ペナルティエリアというもっとも集中を要する空間での判断ミス。それがすべての得点につながった120分でした。

まずは前半8分、下平匠のクロスに対して木本恭生が完全にボールウォッチャーになり、伊藤翔を見失うと、フリーの伊藤は軽々と仕留めて横浜が先制します。木本はその後も狙われる場面があり、横浜が意図的にそこを使っていた節があります。

早い時間帯でのリードでしたが、横浜は無理をしないサッカーを始めます。バックラインでボールを動かす時間が長く、守備時には全体の重心を低めにして構えました。そのため、前線にタレントをそろえるセレッソがダイレクトプレーでバイタルエリアの打開を図ろうとしても、必ずどこかで引っかかってしまいチャンスには結び付きません。

そこで後半はつなぎにこだわりすぎることなく、ミドルシュートの数を積極的に増やしていきました。後半10分には山口蛍が、後半17分にはソウザがそれぞれゴールを狙います。

その流れで後半20分、水沼宏太がクエンテン・マルティノスをかわして強烈なミドルを打ち込み、飯倉大樹がセーブ。松原健はこぼれ球をクリアしようとしましたが、ボールは山村和也にわたってしまいます。この絶好機を逃さず、山村は試合を振り出しに戻しました。

90分では決着がつかなかったため延長に突入すると、準決勝の柏レイソル戦に続いて好セーブを見せていた飯倉が山村のファーサイドへのクロスの対応を誤り、詰めていた水沼に決められてしまいます。痛恨のミスでした。

すると今度は逆転に成功したセレッソが守備を固めます。万能型の選手となった山村が最終ラインに入っていったのです。ただ、延長後半12分には遠藤渓太のクロスにウーゴ・ヴィエイラが合わせるピンチがあり、ここはキム・ジンヒョンが抜群の判断で阻止します。

3分後、セレッソはルヴァンカップ決勝のときのように2点差にできるカウンターのチャンスを得るも、プレー続行困難となった柿谷曜一朗に代わって入ったリカルド・サントスは決定打を放つことができませんでした。

とはいえ、試合は2対1のまま終了。セレッソは埼玉スタジアムで2ヵ月ぶりにカップを掲げることとなり、AFCチャンピオンズリーグ本大会へのストレートインを果たしました。