勝利が優勝への絶対条件だったなでしこジャパン。その前半は戦う姿勢が前面に出ていました。立ち上がりこそ北朝鮮の切り替えの早さに戸惑っていたものの、前半15分あたりから徐々にパスで相手を揺さぶれるようになりました。また、相手の中盤とDFの間にバランスよくポジションをとり、いい位置でボールを受けられる態勢を整えてもいました。

そうしたいい状況の中で放たれたシュートはわずかに1本。前半23分に田中美南が振り向きざまに打ったものだけでした。

それ以外は前半19分に阪口夢穂が前線に入れて岩渕真奈が落とすも、田中が打てなかったり、前半40分の高木ひかりのクロスを受けた籾木結花が打ちきれなかったりと、あと一歩のところでフィニッシュまで至りませんでした。

ただ、流れとしては悪くなかったため、後半もこれを継続できればチャンスは生まれたはずですが、ハーフタイムを終えたあとの日本は全体的に重たくなり、なかなか前に出ようとしません。詰まっては下げ、詰まっては下げという動かし方が多くて、バイタルエリアからペナルティエリアの中まで侵入する機会が少なく、なかなか脅威にはなりえませんでした。

日本がもたついているうちに北朝鮮は2点を挙げます。まず後半20分に櫨まどかのクリアが中途半端になったのを拾われ、最後はキム・ユンミに強烈な一撃を食らいました。

さらに後半37分、高木ひかりがキム・ピョンファに振り切られ、そのクロスはキム・ユンミがコントロールし損ねたものの、こぼれたところにフリーでいたリ・ヒャンシムに決められてしまいます。

優勝するには3点が必要になったなでしこの選手たちは、これで明らかに萎えてしまいました。たしかに後半4分の隅田凛のロングシュート以降、シュートがなかった中、後半40分に菅澤優衣香、後半43分に隅田のフリーキックから阪口、そして後半45分には櫨がゴールを狙ってはいます。しかし、シュートの数が増えてもボールの威力が弱かったり、枠をとらえられなかったりして決定機にはなりません。

また高倉麻子監督の選手交代も後手になってしまいました。流れを変えるには早めに動きたいところでしたが、後半17分に中島依美が入ってからはしばらく動きはなく、2人目の菅澤がピッチに入ったのが奇しくも2点目を許した直後の後半38分。そこで3バックに変え、最後に中里優が投入されたのは後半43分でした。

システムを変えた影響もあってか、最終的には全体の距離感が悪くなり、統制のとれていない状態で試合を終えてしまいました。

大事なところでなかなか勝ち切れない。立ちはだかる壁を破れない――。安定した強さを再び手に入れるには絶好の機会でしたが、彼女たちはそれを生かしきれませんでした。