中盤にスペースが生まれていたものの最後のところで体を張り、辛抱強く守った浦和と、後方の守備にやや不安定さを抱えていたアル・ヒラル。両者のディフェンス面の差が明暗を分けた一戦でした。

前半1分と前半8分には長澤和輝が相手からボールを奪い、シュートにまで持ち込みました。その後もアル・ヒラルはボールコントロールに覚束なさを見せていました。付け入る隙は十分にありそうでした。

ただ、ボールを支配していたのはどうしても1点が欲しいアル・ヒラルの方で、サレム・アル・ダウサリやニコラス・ミレシを中心に浦和ゴールに攻め立てます。そうした状況下で浦和はピッチを大きく使い、無理をすることなく、前にボールを出すのがきつそうな場面ではバックパスを用いました。

後半になると、今度は浦和サイドに小さなズレが生じ始めます。なんでもないところでミスが目立つようになり、ここでアル・ヒラルに付け込まれてしまうと失点する可能性がありました。

しかし、槙野智章、阿部勇樹を中心にゴール前で懸命の守備を見せ、相手に自由を与えることなく、後半17分にはエースのオマル・ハルビンをベンチに追いやりました。

劣勢ながらカウンターとセットプレーに活路を見出そうとした浦和は、後半28分、柏木陽介のフリーキックを興梠慎三が合わせるもアブドゥラー・アル・ムアイフに阻まれ、こぼれ球に槙野が飛び込むも押し込むことができませんでした。

直後に宇賀神友弥に代えてマウリシオを入れ、槙野を左に出し、同時に興梠を左サイドに配してサイドの守備のてこ入れをすると後半34分にアル・ダウサリが2度目の警告を受けて退場となります。

それでもアル・ヒラルの攻勢は続きましたが凌ぎ切り、後半43分に待望の瞬間が訪れます。ラファエル・シルバが相手のボールコントロールミスを逃さずにみずからのものにして、豪快な一撃を見舞ったのです。最高の時間帯にゴールが決まり、4分のアディショナルタイムも守り切ってアジア王者に返り咲きました。

昨シーズンのチャンピオンシップ決勝では、アウェイで勝ちながらホームで鹿島アントラーズに逆転負けを喫し、アウェイゴールに泣きましたが、さらにタフなこのコンペティションのファイナルではきっちりと勝ち抜くことができました。

これで鹿島がJリーグ王者としてレアル・マドリーと戦うなど躍動した舞台、クラブワールドカップにアジアを代表して出場することが決定しました。この勢いを持続してどこまで戦うことができるでしょうか。