最終ラインでのボール回しに余裕を与えないプレスを前線からかけ、最後の最後まで攻撃の姿勢を貫いた川崎が、残留争いの渦中にいる広島を3対0で下しました。

ただ、序盤は三好康児や長谷川竜也の仕掛けは奏功したものの、濡れたピッチを考慮してか、得意のパス回しがやや丁寧になりすぎたため、広島のプレッシャーのスピードが川崎のパスのそれを上回る場面が多々ありました。それゆえなかなか主導権を握れません。

しかも前半31分には好セーブを見せていたチョン・ソンリョンがプレー続行不可能となり、新井章太との交代を余儀なくされます。

そんな中、先制点は幸運な形で訪れました。前半40分、中村憲剛のフリーキックを中林洋次がキャッチしそこねたため、こぼれ球をエドゥアルドがつつき、最後は谷口彰悟が押し込みました。

すると前半46分、中村がパスアンドゴーで前方へ走る中、ボールを受けた三好がシュートを選択。青山敏弘をはがした中村の走りが相手を惑わせる形になり、鮮やかなミドルが決まりました。

エンドが変わってからは川崎が後半7分、11分のチャンスを逃すと、広島が右サイドからだけでなく、左サイドからもクロスを入れて川崎ゴールに襲い掛かります。しかし、いかんせんサイドに偏った広島の攻撃が単調だったため、ことごとく跳ね返しに成功します。

そうして凌いでいた後半40分、新井のロングキックを受けた小林悠が試合を決定づける一撃を食らわし、リードを3点に広げました。ハイボールへの水本裕貴の対応がまずかったのもありますが、小林は冷静にボールを懐に収めて豪快に決めました。

アディショナルタイムに入っても川崎はゴールへの意欲を隠しません。後半49分には中村が変化をつけたコーナーキックを蹴って、登里享平がシュートを放ち、その直後にも奈良竜樹の縦パスに抜け出した小林がゴールを狙いました。

主力の多くを欠いた苦しい台所事情のため、決してリズムがよかったとは言い切れませんが、首位に立つ鹿島アントラーズを追撃するためには負けられない試合をものにしました。