オランダに旅立つ19歳、堂安律の一挙手一投足に注目が集まった試合でしたが、終盤になるにつれて存在感を増してきたのはリオ五輪代表の2人――井手口陽介と大島僚太でした。

ガンバで攻守にわたり絶妙なポジショニングを見せた遠藤保仁、川崎の先制点をもぎ取った中村憲剛というゲームをコントロールしてきたベテランがそれぞれベンチに退いた後、彼らは凄みを見せるようになりました。

それまで消えていた長沢駿の同点弾をアシストした井手口は、ボール奪取能力の高さを発揮するのみならず、攻撃においてもさかんにアクセントをつける存在になっていきました。後半32分には相手が嫌がるようなコースをついたグラウンダーのボールを入れ、倉田秋の折り返しに結び付けましたが、惜しくも合わせる選手がいなかったため、シュートには至りませんでした。

一方の大島は、中村がいなくなって責任感をより一層強くしたのか、エドゥアルド・ネットを残して前目にポジションをとるようになり、積極的に攻撃に絡んでいきます。

後半41分には右サイドでフリーだったエウシーニョにパスを出し、エウシーニョのラストパスに小林悠が合わせるシーンがありますが、これは枠を外れてしまいます。

両者は後半29分に激突。互いに意地と意地がぶつかり合い、井手口がシュートを打とうとしたところを大島がギリギリのところで阻止してコーナーキックに逃れました。

日本代表のワールドカップアジア最終予選でのプレーぶりでは明暗が分かれている2人ですが、この戦いではともに譲らず、試合は勝ち点1を分け合うにとどまりました。