試合終了後の選手の表情は悲壮感が漂っていました。勝ち点1を積み上げ、ワールドカップ出場に王手をかけたとはいえ、難敵オーストラリアとサウジアラビアとの試合を残している中で、両者にプレッシャーをかけられないまま終わってしまったことをひどく悔やんでいるようでした。

実際、幸先よく先制し、再三放り込まれるクロスボールは吉田麻也と昌子源が懸命に跳ね返していたものの、結果的には酷暑の中を戦い抜いて引き分けたことくらいしか評価すべき点のない試合でした。失点の場面はペナルティエリア内の混戦で、ルーズボールの処理を吉田と川島永嗣が誤ったことによるものでしたし、それ以降、得点が欲しいはずなのになかなかシュートまで結び付けられませんでした。ミドルシュートを打つ、という判断もほとんどありませんでした。

ようやくシュートを放ったのは、後半46分、本田圭佑によるものでしたが、ボールは大きく枠を外れていきました。4分後にも酒井高徳がスローインを入れ、吉田が落としたボールを受けて本田がゴールを狙うも、モハメド・カシドの正面でした。

もちろん誤算はありました。戦術的なカードは1枚しか切ることができず、交代カードを3枚すべて使い果たしたあとで久保裕也が足を痛めてしまい、全力でのプレーが難しくなりました。たらればになってしまいますが、倉田秋を投入する際に原口元気ではなく、久保を下げていれば、終盤になってももう少し左サイドから攻め込めたかもしれません。

ただ、依然としてグループ首位であることには変わりはないので、ポジティブに考えてオーストラリア戦に向かうしかありません。海外組がオフ明けという難しい時期の試合になりますが、格上との対戦が予想される本大会の厳しさを考えれば、この難関は必ず乗り越えなければならないのです。