それは後半半ばを過ぎたあたりから緩やかに形成されていきました。日本が最終ラインでボールを回していても、イタリアはペースを落として詰め寄らなくなったのです。

前半、日本に何もさせることなく、集中した怒涛の攻めでリッカルド・オルソリーニとジュゼッペ・パニーコがゴールを奪うと、守備においても日本以上に機敏に動き回り、ボールホルダーに対してはすかさず密集をつくってコースを消していたイタリアが、別人のようになりました。

さらに後半40分過ぎからは最終ラインの選手とゴールキーパーのアンドレア・ザッカーニョとでゆっくりとパスを回し、誰の目にも明らかな時間の消費を始めます。日本も2トップの岩崎悠人と田川亨介がプレッシャーをかけるのをやめました。

主審は律儀に3分のアディショナルタイムをとりましたが、それすら必要のない状況でした。2対2のスコアのまま終われば、両者とも決勝トーナメントに進める――。頂点に立つことが最終目標の世界大会だからこそ見られた光景です。

最後は南アフリカ戦同様に足をつらせて座り込んだ堂安律の足を、イタリアの主将を務めるロランド・マンドラゴーラが伸ばしてあげるという微笑ましい場面もありました。

日本とイタリアの合意はこうして達成されましたが、残り10分を切った段階でそれを破棄しようとした選手がいました。開始早々に2点のビハインドを背負った中、ゴールに向かう強い意志で追い付いてみせた堂安です。

もう1点取ればハットトリックという背番号7は、後半35分にザッカーニョの正面を突くシュートを放つと、1分後には右サイドをドリブルで突破してコーナーキックを獲得しました。あの時のイタリアは少なからず動揺したはずです。約束が違うではないか、と。

そういう貪欲な姿勢を見せたからこそ、堂安は終盤に足をつったのでしょう。そのスタンスを負ければ終わりという今後の試合でも貫いてほしいところです。エースの小川航基が離脱した今、まだまだ頑張ってもらわなければなりません。