後半40分の堂安律をはじめ、終盤に足をつる日本の選手がちらほら見られました。これは、それほどまでに最後まで全力を尽くした戦いだったことを物語っています。

ただ、立ち上がりの入り方は最悪でした。南アフリカの選手の個の能力の高さにたじろぎ、戸惑い、受け身になり、前半7分にはグラント・マージマンにゴールを許してしまいます。シュートの軌道は枠を外れていましたが、飛び込んだ冨安健洋に当たってコースが変わりました。

その後もしばらくはロングボールの対応に苦慮し、さらにはスピードで引きちぎられ、ルーサー・シングやマトララ・マクガルワにシュートを放たれました。

試合に入り切れていない日本は、攻撃においてもパスが無難でスピードも遅く、相手に脅威を与えるまでに至りません。

流れが変わり、落ち着きを取り戻したのは、前半19分に堂安のコーナーキックを起点として、小川航基のシュートがポストを叩いたところからでした。そこからようやくアジア王者のエンジンがかかり始めます。相手のロングボールへの対処も慣れていきました。

攻撃では特に左サイドの三好康児が果敢に行き、クロスを供給したり、途中からはドリブルで勢いよく仕掛ける場面も見られました。しかし、いかんせん前線の選手のシュートが枠をとらえられず、フィニッシュの精度の低さを嘆かざるを得ませんでした。

枠をとらえたシュートが放たれたのは、後半3分。岩崎悠人のクロスに小川が合わせたものでした。そのボールはゴールラインを割り、後半の早い段階で同点に追い付きます。

これでより一層落ち着いた日本は、攻撃の際にペナルティボックスに入る選手の数が増え、堂安、初瀬亮のシュートもモンドリ・ムポトの正面ではありましたが、枠に飛ぶようになりました。

そして後半27分、三好に代わって入り、効果的なパスを供給していた久保建英のマイナスのクロスを堂安が蹴り込み、逆転に成功します。

守っては冨安がシングやマクガルワを完璧に封じ、ほとんどチャンスを与えませんでした。

どうなることかと思われた初戦でしたが、全員のハードワークによってどうにか勝ち点3を獲得し、決勝トーナメント進出に近づく大きな1勝を挙げました。