中盤では相手の寄せがあまりない余裕のある場所へのパスを繰り返し、じっくりとポゼッションをしながら、チャンスと見るや前方のスペースにボールを出す――。おおむねそんなサッカーを展開していた柏に対し、特段ビッグチャンスをつくられなかったことから隙ができてしまい、東京は失点を重ねてしまいました。

前半33分には手塚康平のミドルシュートに意表を突かれ、林彰洋が懸命に手を伸ばすも抑えきれずにネットを揺らされると、入り方が大事な後半開始早々には柏がやり方を変えて一気にギアを上げて攻めてきたのを、東京守備陣が止めることができないまま伊東純也の追加点を許してしまいました。

点差は2。時間は十分。にもかかわらず、東京は試合終盤かのように前への意識が強くなりすぎ、林も含めて後方でミスパスを連発しては再三カウンターを食らう嫌な展開に陥り、いつ3点目を奪われてもおかしくない流れになりました。

篠田善之監督も失点直後のピーター・ウタカ投入を皮切りに後半16分までに3枚の交代カードを使い切ってしまい、それも影響してか、チーム全体が落ち着きを失ってしまっていたようでした。終盤になるまで動かなかった下平隆宏監督の柏とは対照的でした。

また、期待されたウタカは最前線で構えるものの、ことごとくオフサイドにかかり、なかなかボールが収まりません。

東京はずっと悪かったわけではなく、前半は柏の守備網を切り裂く鋭いパスを応酬し、東慶悟や前田遼一のシュートで決定機をつくっていましたが、後半はアディショナルタイムに入るまで柏ゴールを守る中村航輔が場内を沸かせるシーンはありませんでした。

どうにか後半48分に丸山祐市のクロスに田邉草民が合わせて1点差に詰め寄るのが精一杯で、追加時間が残り1分しかない状況では勝ち点をもぎ取ることはできませんでした。

東京は連勝が3でストップし、5位に転落。逆に柏は5連勝を飾って3位にまで浮上しました。