試合当初に精神的な余裕が見られたのは浦和の方でした。最近のチームの好調ぶりが選手たちの自信につながっているのか、後方でのボール回し一つとっても、落ち着きが感じられました。

そんな中で長いボールを時折織り交ぜながら大宮ゴールに迫り、前半42分には関根貴大、武藤雄樹、ラファエル・シルバと渡って、最後は宇賀神友弥がシュートを放つ決定機がありました。ここは塩田仁史に阻まれますが、大宮にゴール前を固められてはいるものの、関根のところから崩せれば、ゴールが奪えそうな雰囲気がありました。

このように決して悪い流れではなかった浦和でしたが、中盤で小気味よくボールを散らしていた柏木陽介が下がった後半になると、展開力が一気に下がり、攻めが単調になりだしました。

大宮サイドは状況の変化を感じ取ったか、次第に相手のペナルティボックスに入る回数が増えていきます。そして後半18分、茨田陽生の力強く、迷いのないシュートがゴールネットを突き刺しました。

点差はわずかに1。とはいえ、浦和にとってはこの上なく重い失点となりました。そして、ダービーに負けたくないという強い思いが逆に空回りしてしまったか、単調さに拍車がかかってしまいます。シンプルなクロスはことごとく跳ね返され、頼みのラファエル・シルバはなかなかシュートを打たせてもらえません。

渋谷洋樹監督が高山和真を送り込み、ホームチームが5バックにしてさらなる守備固めに入ると、浦和の焦りはピークに達します。相手のプレッシャーのない中盤でのつまらないミスが増え、ファウルを連発するなど悪循環に陥りました。

結局、終盤のパワープレーが実ることなく、最後まで大宮ゴールを破ることができずに、因縁のライバルに今シーズン初勝利を献上することとなりました。次節は鹿島アントラーズとの大一番が控える中、厳しい結果を突き付けられてしまいました。