スタンドから大きなため息が絶えず漏れるようなボールロストの連発でした。4点リードしながら、終盤には余計なPKを与えてしまいました。それでも日本は確実に勝利が必要な試合を無失点で切り抜けました。

最初に吠えたのは香川真司でした。前半8分、タイのコンパクトな陣形を崩すために序盤から試みていたセンターバックからサイドハーフへのロングフィードが決まり、森重真人のボールが右サイドの久保裕也に渡ると久保がクロスを入れ、受けた香川は相手DFが前を固める中、落ち着いてゴールに沈めました。後方からフリーで上がっていた山口蛍に預ける選択肢もありましたが、香川が密集地での強さを発揮しました。

最終予選はあまりいいところがなかったのもあってか、背番号10は感情を解き放ち、喜びを爆発させました。そして、両手で力強くサポーターを煽り、スタジアムのボルテージをさらに高めます。

11分後、久保が今度は岡崎慎司のダイビングヘッドをアシストすると、タイのディフェンスの重心が低くなりました。選手間のバランスも崩れ始め、つけ入る隙も出ていました。ところが日本はボール回しが単調になり、やってはならないミスを繰り返してはピンチを招きます。

幸い、タイが昔の日本代表のように、ゴール付近まで攻め込みながらなかなかシュートを打たずにボールを回してしまう悪癖を持っていたため、それほどの怖さはありませんでした。前半アディショナルタイムのピンチもひたむきなディフェンスで凌ぎました。

そして後半12分、香川がDFを引き付けて空いたスペースに久保が持ち込んでいって3点目を挙げ、後半38分には香川に代わって投入された清武弘嗣のコーナーキックを吉田麻也が合わせて試合を決定づけます。

最後に大きく吠えたのは、GKの川島永嗣でした。スタジアム中から響くブーイングを味方につけ、完璧なセーブで失点を免れました。このティーラシン・デーンダーのPKを阻んだファインプレーが、最終予選では非常に大きな意味を持ちます。実際、その後の試合でサウジアラビアがイラクに勝ったものの、1対0に終わったため、日本が勝ち点で並びながら得失点差でグループ首位に立つことができました。

残る3試合はイラクとのアウェイゲームに始まり、オーストラリア、サウジアラビアとの決戦が待ち受けており、まだまだ油断はできません。また次節、オーストラリアのコンフェデレーションズカップ出場の関係か、日本より5日早く開催されるオーストラリア対サウジアラビアの行方も気になるところです。