攻める浦和、守る鹿島という構図で始まりながら、殺傷能力の高さでチャンスを多くつくった鹿島が遠藤康の2ゴールで前半のうちにリードを奪い、盤石の試合運びで勝利……とはいきませんでしたが、最終的には鹿島が試合を制しました。

鹿島優勢の試合の流れを変えたのは、後半18分の浦和のプレーでした。序盤は中盤からサイドに散らして攻めていた浦和が、中央で細かいパスを連続して繋ぎ、駒井善成がクロスを入れて最後はズラタン・リュビヤンキッチが頭で合わせたシーンです。ここでリズムよくフィニッシュまで行けたことで手ごたえをつかみました。

ところが鹿島の石井正忠監督は、攻守にわたって泥臭いプレーで貢献していた金崎夢生とレオ・シルバを立て続けに引っ込めます。ACL、リーグ戦と続くこれからの過密日程を考えれば、十分働いていた選手を休ませるのは得策と考えたのでしょう。

すると後半29分に興梠慎三がみずから得たPKを沈め、1分後には先程の再現かのように駒井のクロスにフリーのズラタンが合わせポストを叩くと、こぼれ球を武藤雄樹が押し込んで同点に追い付きます。得点力のある浦和が持ち前の破壊力を見せました。

これで息を吹き返した浦和の攻守の切り替えが速くなり、試合の展開がわからなくなってきたところ、石井監督は厄介だった駒井の突破をケアすべく、山本脩斗を投入します。直後の後半38分、その山本の長いパスの処理を遠藤航が誤り、鈴木優磨がかっさらって決勝点を挙げました。遠藤航は後半7分にもペドロ・ジュニオールのプレッシャーが迫る中、あわやというシーンをつくってしまっており、この日は精彩を欠いていました。

交代して入った選手が活躍したことで勝利を収めた鹿島は、本格的なシーズンスタートを前に悪くない船出を迎えました。一方の浦和は槙野智章、柏木陽介が不在だったとはいえ、嫌な結果となってしまいました。