前半こそ新潟の中盤からの積極的な守備に苦しめられ、ボールをうまく前に運べずにいましたが、試合全体を通じて効果的に攻めていたのはINACでした。シュート数は新潟の倍以上の20本を数え、惜しいチャンスもありました。前半24分と延長後半10分には中島依美のシュートがクロスバーを叩き、後半17分には大野忍のマイナスのパスに高瀬愛実が合わせたヘッドがポストに当たります。

INACは準々決勝から3試合連続の延長突入で運動量とプレー精度の低下は否めなかった中でも、最後の力を振り絞り、攻めの姿勢は崩しませんでした。延長後半10分、16分には途中出場の増矢理花がゴールを狙うも、ともに福村香奈絵に阻まれました。

福村だけでなく、中村楓を中心とした我慢強い新潟のゴール前での守備を最後まで崩すことはできませんでしたが、攻撃は最大の防御という形になっていたため、武仲麗依が慌てるようなシーンは数えるほどしかありませんでした。危なくなったのは自陣でのミス絡みがほとんどで、前半36分に中島と田中明日菜の連係ミスからショートカウンターを食らい、大石沙弥香、上尾野辺めぐみ、佐伯彩と渡って佐伯にシュートを打たれるも、武仲が的確な飛び出しで防いで、チョ・ソヒョンが蹴り出し難を逃れました。

結局、互いに大事なところで決め切ることができなかったため、どちらに転んでもおかしくないPK方式による決着となったものの、そこでは武仲が見事なセービングを披露しました。1人目の中村のキックを止め、上尾野辺と大石のシュートは決められはしたものの、読みが当たって触ることができており、最後は7人目の渡辺彩香からゴールを死守して優勝を手繰り寄せました。

苦しい試合を制したところは、やはりさすがINACとしか言いようがありません。ギリギリではありましたが、タイトルを取るための勝負強さを見せつけての皇后杯連覇となりました。この強さを1年を通して発揮できるか否か、そして90分間で勝負を決められるかどうかが、来シーズンの課題となりそうです。