スタジアムはレアルのユニフォームやグッズを身につけ、白い巨人の華麗なプレーを目当てにしていたファンが多くを占めたものの、日本を代表して戦う鹿島に対して温かい拍手と歓声の起こった120分でした。もしかしたら小笠原満男がクラブワールドカップを掲げるかもしれない。そんな想像さえ決して夢ではないと思えてしまうような健闘ぶりでした。

そんな空気をつくったのが、中央を固めていたラファエル・バラン、セルヒオ・ラモスのミスを逃さず2ゴールを叩き込んだ柴崎岳です。今大会、左サイドハーフでの起用はあまりうまくいっていなかった印象でしたが、ブロンズボールを獲得した背番号10は得点シーンで中央にポジションをとって結果を出しました。これによって一時は逆転に成功したのです。

すると前半はトリッキーで魅せるプレーに終始し、どこか真剣みを欠いていたようだったクリスティアーノ・ロナウドが変貌。同点となるPKを決めてもあまり喜びません。またジネディーヌ・ジダン監督は、ダニエル・カルバハルとマルセロをウイングバックの位置に上げ、3バックを採用して押し込む態勢を整えました。

延長に入ると徐々に地力の差が出て、ロナウドのペナルティエリア内での爆発力の前に屈してしまいましたが、1点ビハインドになった際の鈴木優磨のクロスバーを叩いたヘディングもあり、鹿島はもう少しのところまで詰め寄りました。

日本サッカー界は、国内で一番注目度の高い日本代表がワールドカップ予選で苦戦を強いられ、おまけに主力の海外組がベンチを温めることが多いという状態が続いています。そんな中で鹿島がレアルとタイトルをかけて本気でぶつかりあい、追い詰めたことは、非常に明るいニュースであり、未来に希望の持てるできごとでした。8年ほど前、同じ横浜国際総合競技場で2年続けて感じた日本と世界の差も縮まったように感じられました。

今度、レアルやはたまたそれ以外のヨーロッパのビッグクラブ、チャンピオンズリーグを制したクラブと真剣勝負をするには、大人の事情を考慮すると、おそらくACLを勝ち上がらないと実現しないでしょう。したがって、クラブワールドカップの舞台に辿り着くには、この試合をさばいたジャニー・シカズ主審の判定を上回るほど理不尽なジャッジやチャイナマネー、オイルマネー、そしてもちろん過密日程などと向き合って、アジアの戦いを乗り越えていかなければなりません。 

それは鹿島が今回上った山よりもはるかに険しいものですが、鹿島のみならず日本のクラブにとって、この試合は今後に向けてのモチベーションが高まる一戦となったことでしょう。