ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、オマーンとのトレーニングマッチを経て、コンディションがよく、デュエルを厭わない選手を数多く起用。ピッチに立った選手達がその期待に応えて勝った。そうまとめるほかない90分でした。

大迫勇也は得点こそなかったものの、前への意識を持ちながらボールをキープしようと奮闘。中盤では山口蛍が機敏にかつ執拗に相手を潰しにかかり、後半から出た本田圭佑や先発復帰した長友佑都も持ち味の体を張ったプレーを見せました。

出色の出来だったのは、またしても左サイドの原口元気でした。試合前の選手紹介でもっとも大きな声援を浴びた背番号8は、サイドバックの選手かと思うほどに上下動を最後まで繰り返し、それでいて攻撃への、ゴールへの意欲は決して失わず、後半35分には中央にポジションを移して決勝点をマークしました。

そして彼らがバトルをする中で清武弘嗣は絶妙なポジショニングをとり、相手の嫌がるエリアで攻撃のタクトを巧みに振りました。前半45分にはPKを沈めてみせましたし、トップ下として確固たる存在になったと言えます。

そんな中で心配の度合いが強まったのは、負傷もあって下がった清武に代わりプレーした香川真司です。本田と長友の崩しがあって、その後の長友のパスをフリックして原口の追加点をアシストしましたが、それ以外の場面では好守両面において目立った働きができていませんでした。復調への道はまだまだ険しいようです。

とはいえ全体としてはおおむね大胆、ではなく妥当な選手起用で大一番を乗り切りました。しかもオーストラリアがタイ相手に勝ち点2を取りこぼしたため、グループ2位に浮上しました。

次のUAEとのリベンジマッチは4ヵ月後の来年3月なので、国内組はオフ明けで見極めが難しいところですが、一方の海外組は所属クラブでトップフォームを維持ないしは向上できるかが重要になってきます。序列はその時あらためて変わるかもしれません。そういう健全かつ喜ばしい競争状態になっています。