4回戦屈指の好カードは互いに仕掛け合い、ゴール前近辺でのギリギリの攻防が続いた120分でした。一瞬たりとも目が離せない見応え十分のぶつかり合いで、真剣勝負の醍醐味を味わうことができました。

川崎はチャンピオンシップに照準を合わせてメンバーを落としたのかと誤解されそうなほど苦しすぎる台所事情でした。それでも三度リードを許しながら心折れることなく、そのたびに追い付いてPK戦の末に浦和を下しました。これで痛恨の逆転負けを喫したガンバ大阪戦の嫌な流れを払拭できました。

この試合もガンバ戦に続いて若手が躍動します。ボランチを任された板倉滉は中盤に安定感をもたらし、時には前線に意欲的に顔を出していきました。その奮闘が影響して、延長に入ると足をつらせてしまいましたが、最後まで戦い抜きました。また、前線の三好康児は無尽蔵のスタミナで走り回り、積極果敢な姿勢を貫き、後半50分には際どいミドルシュートを放ちました。

その2人が延長後半12分、PK戦に繋がる貴重な同点弾を演出します。三好が左サイドからクロスを上げると、板倉が競り合いに勝って落とし、最後は前線に上がっていたエドゥアルドが頭で押し込みました。

一方、守備では正守護神のチョン・ソンリョンの復活が大きく、PK戦ではズラタン・リュビヤンキッチのシュートをストップ。浦和に先制された場面では森脇良太のロングパスへの対応で一瞬の躊躇が仇となり、興梠慎三にゴールを許しましたが、大事な局面で大仕事をやってのけました。

しぶとく食らいついて激闘を制した勢いでチャンピオンシップに臨むことができる意義は大きく、鹿島アントラーズとの準決勝に向けて弾みがついたはずです。あとは負傷した選手達がどれだけトップコンディションで戻ってこられるかにかかっています。