清武弘嗣は試合勘が鈍っていなかったことを1得点2アシストで示し、大迫勇也がその清武のパスを受けて2ゴールを奪い、ケルンでの好調さを代表でも発揮。ワールドカップ出場に向けて落とせないサウジアラビア戦を前に明るい材料の見られたオマーン戦でした。

またセットプレーでは工夫を凝らしたものをいくつか試し、たとえば清武が左サイドからのフリーキックでやや下がり目にいた本田圭佑にグラウンダーのパスを送り、本田がシュートを狙う形をやってみるなど、決戦に向けてあまり出し惜しみはしていない様子でした。

ただ、個人ではJ1の10・11月度MVPに輝いた齋藤学が、積極的に攻撃に絡もうとしたものの、明確な結果を出すにはあと一歩というところに終わり、逆に守備面ではカウンターを受けた際に危なっかしいクリアを見せるなど、期待された力を出せずに終わった印象です。

中長期的な強化という点では、代表キャップの少ない選手を積極的に起用。それゆえに本田と清武が下がった後に中央での組み立てが見られなくなったのですが、後半49分に小林祐希が右足でゴールを決めて、唯一アピールに成功しました。

とはいえ、これはワールドカップ2次予選で敗退したオマーンとの親善試合です。最終予選とは雰囲気や緊張感がまったく違うぬるさで、相手も時間稼ぎをしない非常にフェアなチームでした。4日後の真剣勝負に弾みがついたかと言えば、清武と大迫の出来を除くといささか疑問が残ります。この試合はあくまでテストということで、来たるべき一戦のためにセットプレー以外は力を温存したのだと好意的に解釈したいところです。