好守ともに距離感がいいのは鹿島の方でした。堅い守備網を構築して隙をつくらず、攻撃ではクロスバーを叩くようなシュートを何本も放ちました。それゆえ川崎は得意のパスワークで押し込むことができずに90分を過ごしました。後半、システムを3-4-1-2から鹿島と同じ4-4-2に変えても、状況は変わりません。

川崎にとっては中盤でボールをたくさん触り、チームのリズムをつくる大島僚太の不在が大きく響きました。必然的に中村憲剛の配球役としての負担が増し、そこをたびたび永木亮太、小笠原満男の両ボランチに狙われてしまい、時にはピンチを招きました。

ただ、圧倒的に不利な状況に追い込まれながら、ワンチャンスをものにする力が今の川崎にはあります。 後半20分、谷口彰悟のパスに抜け出したエウシーニョがやや角度のないところからシュートを放ち、これを曽ヶ端準がセーブ。そのこぼれ球を森本貴幸がプッシュして先制しました。

前半33分に負傷によりピッチをあとにした小林悠に代わって入った森本は、鹿島守備陣とのボールの奪い合いでファウルをすることが多く、プレーを切るばかりでFWとしての仕事を果たせていませんでしたが、大事な場面で決めてくれました。

一方、守備では新井章太の活躍を忘れてはなりません。前半19分には谷口のコントロールミスから金崎夢生に奪われてシュートを打たれるも、見事な飛び出しで阻止。後半6分と26分の遠藤康のシュートもファインセーブで阻みました。

この勝利で川崎は約3ヵ月ぶりの連勝となりました。苦しい試合を勝ち点3に繋げた勢いで最終節に臨み、チャンピオンシップに弾みをつけたいところです。