バックスタンド寄りのゴール裏の一部を含め、販売当初はガンバサイドに与えられていたはずのゾーンも相当が赤く染まっており、およそ中立地とは言いがたい環境で、ホーム扱いのガンバは最後の最後まで戦い抜きました。

0対4の完敗に終わった2週間前のリーグ戦での対戦とは打って変わって、前半はガンバが落ち着いた試合運びを見せて試合を優位に進めました。中盤では安易に勝負せず、縦に大きく蹴って浦和のコンパクトな陣形を伸ばし、選手間の距離を広げようとしました。

そんな中で前半17分にアデミウソンが個の力を発揮。浦和の最終ラインを単独で振り切り、見事に攻略して見せました。

対する浦和は得意とする連動したパスで崩してくるのではなく、サイドからの単純なクロスが多く、東口順昭を慌てさせる場面をつくれずにいました。

ところが後半、相手陣内深い位置までボールを運び、進入するようになった浦和が次第にペースを握り始めます。そして後半31分、入ったばかりの李忠成が同点弾を決めます。浦和のコーナーキック時の投入で、ガンバの選手のマークが甘くなったところを見事に突かれてしまいました。

これでスタジアムのボルテージが上がり、勢いを増した浦和は逆転を狙って攻勢をかけ、ガンバがそれを耐え忍ぶ流れになっていきました。ただ、互いに疲労の色が濃くなっていき、最後のところでの精度を欠いたため、スコアは動きません。

厳しい状況の中で長谷川健太監督が送り込んだ最後の選手は呉屋大翔でした。後半43分からピッチに立った新人ストライカーは苦い経験をすることになります。延長後半に放ったシュートはポストに当たり、ゴールラインのわずか手前を転々として得点には至らず、4人目を担当したPKはコースが甘くなり、西川周作に阻まれてしまいました。

結果、ガンバは残念ながらあと一歩のところでタイトルに手が届きませんでした。チャンピオンシップ出場は極めて困難な状況にありますが、「本拠地」で開催される天皇杯決勝で勝利を挙げたいものです。