ロシア行きの切符を賭けたラウンド3の初戦は、2人のハリルがその存在を際立たせていました。

1人目はUAEのアハメド・ハリルです。前半11分には本田圭佑へのマークを疎かにしたため、あっさりと先制点を献上。2分後のフリーキックのチャンスでは、枠を大きく外して日本国民を安心させたのですが、再び訪れたセットプレーでは見事なフリーキックを決めて同点に追い付き、後半9分のPKではプレッシャーのかかる中でパネンカをやってのけるという憎らしさを見せました。

こうして試合の全得点に絡んだハリルに対し、日本の指揮官である「ハリル」ことヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、昨年のアジアカップのみならず、過去を思い返してもあまりいいイメージのないUAEを甘く見ていたのか、うまく対処することができませんでした。

もっとも裏目に出たのは、大島僚太のスタメン起用でした。柏木陽介をベンチにも入れられない状況だったとはいえ、キリンカップではなく、この試合で代表デビューを飾らせたのは得策ではありませんでした。初戦ということを考えても、もう少し慎重に戦う必要がありました。

また、決して悪くはなかった清武弘嗣を下げ、終盤に運動量が落ちてきた本田と前半に絶好機を外した香川真司に固執する必要があったかどうかも疑問として残ります。彼等は決してアンタッチャブルな存在ではないはずです。

もちろん監督のみにすべての責任があったわけではなく、失点がすべてミス絡みだったことを忘れてはなりません。加えて、ただでさえ層の薄いディフェンス陣で酒井宏樹と吉田麻也が早々と警告を受けてしまったことも、今後に向けては不安材料となります。

とにもかくにもホームの開幕戦を落としたことで苦境に立たされたわけですが、まだ9試合残っていますし、最悪、グループの3位でも大陸間プレーオフに回れる可能性があるのですから、必要以上に悲観的になっても仕方ありません。まずはタイ戦での気持ちの切り替えが重要です。