5人目のキッカーとして役目を果たした直後、ネイマールは顔をくしゃくしゃにしていました。それは、悲願でありながら、サッカー王国として、そしてホスト国として是が非でも優勝しなければならないという重圧に勝った喜びと安堵の表情に見えました。

120分に及ぶ激闘は、枠内シュートの少ない試合でした。ブラジルがシュート17本に対して枠内に飛んだのが4本。ドイツも14本に対して5本です。よって、ウェベルトンとティモ・ホルンが大活躍するような場面はありませんでした。

しかし、見応えのない試合であったかと言えばそうではなく、両チームとも最終ラインの選手を中心にゴール前で体を張ったシュートブロックを見せ、シュートとカウントされないものが多かったのが事実です。

そんな中できっちりゴールを決めたのが、ネイマールでした。前半26分、完璧なフリーキックを沈めてみせたのです。今大会初ゴールとなったコロンビア戦のフリーキックは相手選手が壁を崩してしまったため、難なくボールがゴールに向かっていきましたが、今回のクロスバーに当たって落ちた一撃は文句のつけようのないものでした。

それだけではなく、前半は果敢にドリブルを仕掛けた背番号10は、後半になると相手を引き付けてスルーパスを繰り出すことが多くなり、チャンスの一歩手前まで演出しました。マックス・マイヤーに同点弾を食らった後で、ガブリエル・バルボサやフェリペ・アンデルソンがそれに応えていれば、試合は早く終わっていたでしょう。

ミネイロンの惨劇を皮切りに、その後のワールドカップ予選での苦戦、コパ・アメリカの早期敗退と、フル代表に関しては批判の対象になるような結果しか残せていませんでした。その中で五輪代表が金メダルを獲得し、ブラジル国民を喜ばせる明るい話題を提供してくれました。これをきっかけにして、フル代表が復活を遂げることができるかもしれません。