金メダルを取るために策を練り、守り勝ちをしてきたスウェーデンでしたが、決勝は違いました。前の試合ほど自陣に引きっぱなしにはならず、先制点を取るべく、ソフィア・ヤコブソンやロッタ・シェリーンを走らせて相手のいないスペースにすばやくボールを出し、積極的にゴールを目指していきました。おそらくこれが彼女達の現時点での理想のサッカーだったのでしょう。

これがはまれば、申し分ない展開でした。しかし、先にネットを揺らしたのはドイツでした。後半3分、ニラ・フィッシャーのクリアが中途半端になったのを逃さず、ジェニファー・マロジャンが放ったシュートがすばらしい軌道を描いてゴールに吸い込まれていったのです。前半半ばからじわりじわりと押し込んできたドイツの攻撃をスウェーデンは耐え切ることができませんでした。

さらに後半17分、リンダ・センブラントのオウンゴールで追加点を許します。シェリーンがゴール前でサラ・デブリッツを倒し、フリーキックを与えたがゆえに生まれた失点でした。マロジャンのキックがポストを叩き、戻ってきたボールにセンブラントの足が当たって入りました。

5分後、代わって入ったスティナ・ブラックステニウスがオリビア・スクーグの絶妙なクロスに合わせて1点差としましたが、その後、得点の欲しいスウェーデンが前に出て、互いに攻め合う展開になっても同点ゴールを奪うことはできません。

終盤、後半に入ってディフェンスに追われることが多く、攻撃で目立たなくなっていたシェリーンを前目に上げ、4-3-3気味の布陣に変えたものの、それも奏功しません。二度、三度とゴール前まで迫りながら、きっちりしたシュートが打てず、決定機には至りませんでした。

結局、オウンゴールの1点が重くのしかかり、金メダルには届きませんでした。ドイツが強かったのは事実ながら、こういう結果になったことで、前半飛ばし過ぎずに現実的にもっと手堅く戦っていたらどうだっただろうかと考えてしまいます。分が悪い相手に先制したい思いが強く出た戦いを、完全に否定するつもりはないのですが……。