大島僚太と南野拓実を先発に戻した日本は前半、6本のシュートを打ちましたが、アンドレアス・リンデにセーブされた興梠慎三の1本を除いては、大きく枠を外れたり、当たりが悪かったりしてゴールを奪えませんでした。それ以外は奪うところ、その先のところはまずまずでしたが、最後のところでやや慎重になってしまったのか、時折テンポが遅くなるなどして切れ味がありませんでした。

たとえば前半18分のシーンは、縦へのパスが繋がって中央を崩しました。植田直通が前に鋭いグラウンダーのボールを入れると、中島翔哉、興梠、南野とダイレクトで繋ぎ、中島に戻ってきたところでアダム・ルンクウィストにカットされました。

ただ、ポジティブな要素としては、コロンビア戦ほどスタートから飛ばしていなかったため、後半の戦いに期待の持てる状況でした。あとは前半の半ばすぎから4-5-1にして中盤を固めてきたスウェーデンをどう攻略するかにかかっていました。

エンドが変わると日本は徐々に積極性とスピードが出てきました。後半1分にはダイレクトプレーによる縦への展開から、大島からパスを受けた中島がクロスを入れるも少し大きく、合いません。

手倉森誠監督はさらに攻撃への勢いをもたらそうと、南野と浅野拓磨に代えて、矢島慎也と鈴木武蔵を立て続けに送り込みました。

すると18分、ショートコーナーから矢島がクロスを入れ、走り込んだ遠藤航がヘッド。これはリンデに防がれ、こぼれ球に鈴木が詰めましたが、ここもリンデに阻止されてしまいます。

流れが良くなってきた中で待望の時が訪れたのは、それから2分後のことでした。きっかけは亀川諒史が一度は奪われながら、チェイシングをしてとったスローインでした。そこから短くパスを繋いだあと、大島が力強く突破し、マイナスのクロスを入れて、最後はフリーの状態でゴールに向かっていた矢島が合わせて先制しました。

その後も日本はチャンスをつくります。22分にはショートコーナーから大島がセンタリングを上げ、塩谷司が頭で合わせるもクロスバーをヒット。24分には大島のすばらしいターンからのパスを受けた亀川がクロスを上げ、矢島が合わせましたがサイドネットでした。大島を中心としてつくったこうした好機をものにできれば、試合をより優位に進められましたが、それは叶いませんでした。

32分には興梠を下げて、井手口陽介を投入。中盤を厚くした4-3-3に変更して逃げ切りを図ります。スウェーデンはラスト5分というところで、センターバックのアレクサンデル・ミロシェビッチを前線に上げてパワープレーを仕掛けてきましたが、問題なく凌ぎ切りました。

結果、スウェーデンにはほとんど何もさせずに1対0で完封勝利をしたものの、同時刻に行われた試合でコロンビアがナイジェリアに勝ったため、勝ち点で1及ばず、準々決勝進出はなりませんでした。

敗退の要因を考えると、やはり守備に重きを置いた編成をしておきながら、3試合で7失点を食らってしまったのが大きく響きました。もちろん大会前の守備陣のアクシデントが少なからず影響したのですが、それでも終わってみるともう少し我慢しきれなかったものかと思われてなりません。