キャプテンのネイマールを中心に緩急をつけながら押し込むブラジルに対し、日本はブロックを敷いて我慢をして耐えていました。前半17分、ネイマールのスルーパスに抜け出したドウグラスにクロスを上げられ、フェリペ・アンデルソンが放ったシュートは中村航輔が防ぎました。27分のネイマールのシュートも植田直通と中村が身を投げ出して阻止しました。

30分まではこうして乗り切っていましたが、クーリングブレイクの直後、日本に隙ができました。

33分、中盤でボールを受けたガブリエル・バルボサが突如ギアを上げてドリブルを開始し、そのままシュートまで持っていきます。ボールは植田に当たってコースが変わり、先制点を許してしまいました。一瞬の緩みが即失点に繋がるということを思い知らされる1点でした。0で抑える時間を長くしたかったはずの日本にとっては、痛恨の失点です。

畳み掛けるように38分のチアゴのシュート、39分のネイマールのフリーキックがゴールを襲いますが、いずれもクロスバーをヒットします。

そして前半終盤の41分、ネイマールのコーナーキックをマルキーニョスが頭で合わせ、ブラジルが加点に成功しました。塩谷司が競っていましたが、マルキーニョスに前に入られてしまいました。

後半は選手交代に制限がないというこの試合のレギュレーションが影響し、次第にトレーニングマッチの様相を呈してしまい、ゲームのテンションが下がってしまいました。日本は五輪に出る17人をプレーさせただけでなく、トレーニングパートナーの小川航基、冨安健洋もピッチに送り込みました。もちろん本番が迫っている時期だけに無理をする必要はなかったでしょう。

一方のブラジルは2点がセーフティーリードと考えたか、前半ほどの迫力ある攻撃はほとんど鳴りを潜め、まったりとしたプレーに移行していきました。こちらも調整の意味合いが強まっていました。

そんな45分の中で唯一、形になったのが後半8分のシーンでした。大島僚太が中盤でカットしてそのまま興梠慎三へのパスにすると、興梠はDFを引き付け、左でフリーになっていた中島翔哉にラストパスを送ります。中島はトラップしてからシュートを放ちますが、時間をかけている間にウイルソンに詰められてブロックされました。

ただ、これくらいしかチャンスらしいチャンスがなかったのは気がかりではあります。不甲斐ない出来に終わったトゥーロン国際大会の方がもう少しいいプレーができていました。果たしてナイジェリア戦までに修正ができるでしょうか。