無敵を誇ったステラシステムに森川竜司が加わり、ステラスポットが見えるヒクソン・シウバをも凌駕して、日本が難なくブラジル相手に3対3の同点に追い付きます。これで勝利が、そしてその先さえも見えてきました。

ところが、この試合が作中で描かれる最後の戦いになってしまいます。そうさせたのが、ホスト国のエースゆえのプレッシャーで追い詰められ、悪役に変貌したネストールでした。

後半アディショナルタイム突入間近にステラシステムの要である坂本轍平を負傷退場に追い込み、さらには巧妙にPKを獲得して西郷政光を2枚目の警告で退場させたのです。ネストールはPKを決め、ブラジルが勝ち越します。

1点ビハインドで主人公が大会を棒に振る負傷をして、ピッチからいなくなるという非常事態に陥るも、日本はサポーターからの熱い念を受け、「てっぺいさんなら…」という思いでプレーする残された選手の力でブラジルゴールに迫ります。そして最後は坂本琴音の愛の叫びを聞いた森川がゴールにねじ込み、同点に追い付きました。

試合はPK戦にもつれこみ、全員が成功する中、5番手のキッカーを務めたネストールが、先日のコパ・アメリカ決勝でのリオネル・メッシのような外し方をしたため、日本が念願の準々決勝進出を決めました。

しかし、どのような負け方をしたかは描かれませんでしたが、主力2人を失った影響は大きく、ドイツには1対6で敗れます。現実のブラジルより1点だけ失点が少ない敗戦でした。 

ファンタジー溢れ、世界から称賛を受けそうな日本の戦いは残念な形で幕を閉じました。ただ、草場道輝先生の「あとがき」によると、現実世界では未達のベスト8に進めることはできたものの、もともと「現実に即し」た作品にすることが求められていたとのことで、こればかりはどうすることもできなかったようです。

以前の「おまけまんが」から想像するに、『週刊少年サンデー』の方針転換の影響を受けて終わりを迎えてしまったのではないかと思っていましたが、どうやらそれは違うと言えそうです。てっぺいがピッチを去る時、「まだまだ上に行ける自信はあった…」という悔しい思いがこみ上げてきたのは、作者の思いの反映かとも思いましたが…。

ただ、実在の本田圭佑が作品の中にいたことで、最終話でSVホルン買収の話を出すことができ、日本サッカーの未来への希望が描かれて、きれいに終わることができました。