中村憲剛の不在、前半半ばでのエドゥアルドの負傷離脱、2点のビハインド――と苦しい状況に追い込まれた川崎は、どうにか追い付くことができたものの、勝ち点3にはあと一歩及びませんでした。

開始15分で許した2ゴールはいずれもリスタートからでした。まず前半9分、イ・ボムヨンのゴールキックをウェリントンが頭で繋ぎ、邦本宜裕と車屋紳太郎が競ったボールが金森健志に通ると、金森はトラップから巧みにゴールに流し込みました。序盤からロングボールを使ってきた福岡でしたが、ウェリントンが飛んだ際、エドゥアルドは競っていませんでした。

6分後、今度はスローインが起点となります。ボールを受けた邦本がドリブルをスタート。川崎の選手の寄せが甘く、一気にバイタルエリアに進入します。そして金森と2人で難なく中央を崩し、最後は金森がゴールを決めました。川崎は立ち上がりのほんのわずかな、一瞬の隙を突かれてリードを許してしまいます。

反撃に出た川崎は大島僚太が前に出ていく意欲を見せ、23分には大久保嘉人が相手を引き付けて小林悠にパスを送ると、小林は中央に折り返し、大島がダイレクトでシュート。これはイ・ボムヨンに阻まれます。起点になったのは大島のボールカットでした。その後も大塚翔平や車屋がゴールに迫るも、福岡守備陣に止められてしまいます。

しかし42分、ショートコーナーの二次攻撃から生まれた大島のスルーパスに小林が反応。うまく抜け出して鮮やかなループシュートを決め、1点差に詰め寄ります。川崎はいい流れをつくった状態で前半を終えることができました。

後半開始とともに、ゴールが欲しい川崎の風間八宏監督は武岡優斗を右サイドバックに入れ、エウシーニョを一列前に上げました。後半1分と7分にはそのエウシーニョが早速シュートを放ちました。

それでもなかなか得点が奪えなかった中で、25分に大塚のシュートのこぼれ球に飛び込んだ大島が、キム・ヒョヌンに倒されてPKを獲得。これを大久保が冷静に転がして同点に追い付きます。

他会場の状況からもう1点が必要だった34分には田坂祐介を入れて、攻撃の活性化を図りました。ところがチームは決定機をほとんどつくれず、福岡のディフェンスを崩しきれないまま時間が経過していきました。また、試合を通してゴール前でのフリーキックも多かったのですが、生かしきれません。

結局、2対2で試合は終了し、ヴィッセル神戸に逆転勝ちした鹿島アントラーズに首位の座を明け渡すこととなりました。自力でのステージ優勝の可能性はなくなりましたが、次の1stステージ最終節、5位の大宮アルディージャとの一戦に望みを託します。