ブルガリア戦同様、勢いを持って幸先いいスタートを切りたい日本でしたが、そうはさせてもらえませんでした。ボスニア・ヘルツェゴビナはデンマーク戦の前半のようにブロックを敷いて様子を見るのではなく、最終ラインを高く保ち、後方からのビルドアップを許さないようプレッシャーをかけてきました。

こうなると思うようにパスを回せず、またテンポを上げるのに時間がかかりました。ただ、少しずつ厳しい局面でもシュートまで持っていけるようになります。

前半12分、こぼれ球を宇佐美貴史がシュート。15分には岡崎慎司、宇佐美、長谷部誠と繋がり、長谷部が鋭い縦パスを入れると、エリア内で清武弘嗣がターンして右足を振り抜きました。いずれもイブラヒム・シェヒッチにセーブされ、後者はクロスバーをかすっていきました。

徐々に流れを引き戻してきた28分、先制点が生まれます。 森重真人が宇佐美にボールを出し、宇佐美はドリブルをスタート。そのままペナルティエリアに進入してラストパスを送ります。それを清武が押し込んでゴールを奪いました。ゴール前には岡崎、そして浅野拓磨も詰めていました。

喜んだのもつかの間、29分にマリオ・ブランチッチのクロスにアルミン・ホジッチが頭で合わせます。西川周作が防ぐも、こぼれたボールをミラン・ジュリッチに決められてしまいました。再開直後、ロングボールで最終ラインが押し下げられ、中盤にスペースができたところで、ブランチッチに絶妙なボールを上げさせてしまいました。

ハーフタイム明け、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は柏木陽介に代えて、守備力の高い遠藤航を送り込みます。これによって、長谷部が主に後方からのボールの供給役を担い、遠藤が積極的な守備でチームに貢献することになりました。

攻撃面では最終ラインからも相手の裏を狙い、スピードのある浅野を生かそうとしました。ところが肝心の縦へのボールがうまく入らず、攻撃の形が思うようにつくれません。

すると後半21分、代わって入ったばかりのミロスラフ・ステバノビッチのスルーパスを、ダイアゴナルに走ってきたジュリッチが決め、ボスニア・ヘルツェゴビナに逆転されます。ステバノビッチのそばには遠藤がいましたが、遠藤は強くアプローチに行かず、横方向へのパスコースを消す選択をして、結果的にアシストを許してしまいました。

リスタートから2失点を喫した日本は、前線に小林祐希、金崎夢生、小林悠を送り込みます。しかし相手は30分すぎからペースを落とし、殊勲のジュリッチも下げてディフェンスを固めてきました。

中央を締められると手詰まりになってしまい、日本は守備網を崩すことができません。単調なクロスばかりではなかったとはいえ、2年前のギリシャ戦を思い出すような展開になってしまいました。

そんな中で悔やまれたのは48分のシーン。左サイドバックに入った槙野智章、金崎、遠藤、清武と繋がり、右サイドから背後を突いた浅野に渡った場面です。ここで浅野はシュートではなく、小林悠へのパスを選択します。シェヒッチが先に体を倒していたので、冷静に狙えば同点に追い付ける絶好のチャンスだったものの、浅野のパスはトニ・シュニッチにカットされました。

結局、得点シーン以外ではほとんどゴール前での迫力を欠いた日本が1対2で敗れてしまいました。香川真司、本田圭佑が欠場した中で結果を残してほしかった決勝でしたが、残念な幕切れとなりました。