歴史上、過去一度も勝ったことがなかったブルガリアに大勝した日本。この試合では2ゴールを決め、守備でも奮闘した香川真司、そして再三得点に絡んだ清武弘嗣の活躍もさることながら、長谷部誠と柏木陽介の両ボランチの球出しも冴え渡っていました。

前半4分の先制点は、中盤で長谷部が右サイドに大きくサイドチェンジしたところから始まりました。スペースに走ってそれを受けた酒井宏樹が香川に預け、香川が柏木にパスを送り、柏木はターンしてディミタル・ランゲロフをかわしてクロスを上げ、岡崎慎司のゴールに結び付きました。

27分には柏木のサイドチェンジがフリーの長友佑都に渡り、そのクロスを香川が頭で押し込みます。小林悠のラストパスを清武がスルーし、香川の鮮やかなターンで決まった3点目も、柏木から岡崎へのロングパスが起点となりました。

そして38分のコーナーキックからの4点目は、長谷部のクロスを森重真人が折り返して、中央にいた吉田麻也が決めました。

こうして長谷部、柏木の働きもあって、前半だけで一挙4得点を奪うことに成功したのです。攻撃面ではとかく前の選手に目がいきがちですが、ボランチからのゲームコントロールが日本には欠かせないことをあらためて印象付けました。

後半は清武が関与して2得点を追加。完全に優位に立った日本のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、後半25分に清武を下げて原口元気を投入します。原口はそのままトップ下に入り、先にピッチに入っていた宇佐美貴史、浅野拓磨と並ぶ形になりました。これで2列目からゲームメーカータイプがいなくなり、突破力のある選手だけで構成されることになったのです。彼等は指揮官の期待に応えます。

12分にすでにゴールを決めていた宇佐美は果敢にシュートを放ち、原口は粘り強く鋭いドリブルでゴールに迫ります。初代表の浅野は41分に勝負を賭けて突破を図ると、ゲオルギ・テルジエフにユニフォームを引っ張られ、PKを獲得します。これをみずから決めて、7点目が生まれました。

守備面は大量リードゆえか次第に緩慢になり、前半は集中し、連動していたものの、後半はミスやファウルが増えてしまい、2失点を喫しました。ただ、攻撃に関しては申し分のない、充実した90分になりました。

この充実ぶりで、もしヨーロッパにいるEUROを控えた本当の強豪国とテストマッチをしていたらどうだったか。そんなことを考えてしまうような内容でした。