後半12分、大儀見優季が2枚目のイエローをもらい退場となって以降、アメリカに押し込まれて完全に守勢に回り、一時は逆転を許した新生なでしこジャパンでしたが、横山久美のゴールで辛くも3対3のドローに終わりました。

スタートは幸先いいものでした。前半14分、岩渕真奈がペナルティエリア外から狙って先制すると、勢いの出てきた22分には大儀見が左サイドから走り込んで追加点を奪いました。

2点目のゴールは、阪口夢穂のロングボールを中島依美がペナルティアークで収めたところから始まりました。そこから岩渕、有吉佐織でボールを繋ぎ、有吉は右サイドに流れた中島に預けます。中島はそれをダイレクトで上げ、トップ下の千葉園子が空けたスペースに、この日左サイドハーフを任された大儀見が入って決めました。前線の見事な連携が形となった場面です。

その5分後の27分、この日が代表デビュー戦の佐々木繭の背後を突いたパスがマロリー・ピューに通ると、そのマイナスのクロスがフリーのアレックス・モーガンに渡って、1点差に詰め寄られます。熊谷紗希がピューを意識するあまり、モーガンを外してしまいました。アメリカにとっては最初のビッグチャンスでした。

その後も何度かサイドを突かれて猛攻を受ける格好になりましたが、大儀見が退場するまでは熊谷、村松智子を中心にひたむきに守って凌ぎました。 

1人少なくなってからは、千葉が左サイドに回って4-4-1を形成して対応します。そして高倉麻子監督は後半17分に千葉に代えて増矢理花を投入しました。厳しいシチュエーションでも攻撃の姿勢は崩さない采配です。

しかし19分、トビン・ヒースのフリーキックをモーガンに合わせられ、同点に追い付かれます。この場面では村松がモーガンを前に入らせてしまいました。

こうなるとアメリカの勢いは止まりません。かさにかかって攻めてきます。追い詰められた日本はミスが目立ち始め、35分には山下杏也加がモーガンにプレゼントパスを送ってしまうというピンチがありました。

44分のアメリカの逆転弾も連係ミスによるものでした。遠目からケリー・オハラがクロスを上げると、それに対して山下、熊谷、そして川村優理が一斉に競ってしまい、最終的にはリンジー・ホランに触られてしまい、ボールはゴールに吸い込まれていきました。

数的不利なので仕方ないことですが、なでしこは運動量が落ちていて、攻撃は中の枚数が少ないにもかかわらず簡単にクロスを入れ、相手センターバックに跳ね返されるばかりという展開でしたので、このまま負けてしまいそうな空気が漂っていました。

ところが48分、この時は中央を崩して打開します。熊谷のパスを受けた増矢が進行方向と逆の方向にボールを出し、阪口が落ち着いて横山にパスを通します。アメリカのセンターバックの間にいた横山は、冷静に左隅にボールを転がし、試合を振り出しに戻しました。

もったいない場面が多く、相当に苦しい試合になってしまいましたが、それでも再び挑戦者として世界女王に挑み、劣勢の中で引き分けることができました。新しいチームの初戦としては決して悪くない結果です。