最終ラインを高く保ち、攻守ともに積極的に来た磐田に対し、ホームの川崎は窮屈な状態に追い込まれてしまいます。特に前半は思うようにパスが回らず、アタッキングサードへの進入もままなりませんでした。

そんな中、エースの大久保嘉人は一人気を吐き、果敢にゴールを狙ってシュートを打っていきました。前半7分にはエドゥアルド・ネットの長いスルーパスを受けて、得点を奪いに行きましたが、八田直樹の飛び出しによって防がれてしまいました。

43分には大久保が八田に倒されてフリーキックを獲得。これを中村憲剛が蹴り、谷口彰悟が頭で合わせるもボールはクロスバーをヒットして抜けていきました。

後半に入ってからは中村憲剛のプレーに凄味が増してきました。前半途中からボランチの位置に下がった背番号14の勝利への、そして暫定首位キープへの強い思いが込められたボールが幾度となく前方に送られました。特に右サイドバックのエウシーニョのところにボールを集めますが、シュートまで形をつくることはあまりできませんでした。

逆に後半22分、自分達のコーナーキックから磐田にカウンターを食らったものの、アダイウトンがボールキープにもたついている間に帰陣して、どうにか不発に終わらせました。

30分には登里享平から小林悠、中村憲剛、そして再び小林悠へとダイレクトで繋がり、小林悠はグラウンダーのパスを送ります。その先にいた大久保が飛び込みますが合いません。以前、別の試合で見たような、既視感を覚えるようなシーンでした。

39分、風間八宏監督は登里に代えて中野嘉大を投入。ドリブルが持ち味の選手を起用し、流れを変えようとします。するとこの交代が功を奏します。

43分、大塚翔平とのワンツーを決めた中野が、ドリブルで左サイドから中央に入り込み、大久保へ。パスを受けた大久保は外側を駆け上がるエウシーニョに冷静にボールを預けます。エウシーニョは勢いそのままに低いクロスを入れると、それが小川大貴の足に当たってゴールネットを揺らします。オウンゴールを決めてしまった小川大貴は思わず両手で顔を覆いました。

川崎は最後、大塚が下がって武岡優斗が入り、守備固めをして逃げ切りました。これで勝ち点を31に伸ばし、暫定首位の座を明け渡しません。勝ち点4差で3位の浦和レッズが2試合多く残しているとはいえ、価値ある勝利になりました。