前半1分、近賀ゆかりのクロスに大野忍が頭で合わせてシュートを放つなど、序盤はINACが右サイドを圧倒的に支配しました。

先制点は反対のサイドを使った最初の崩しから生まれました。11分、中盤でチョ・ソヒョンがルーズボールを拾ったところから攻撃がスタート。そこから左サイドに展開し、鮫島彩から中島依美にボールが渡り、中島は北川和香菜を抜き切らずにクロスを上げます。これをファーサイドにいた川澄奈穂美がダイレクトで合わせると、ポストを直撃。こぼれ球が高瀬愛実のもとに落ち、高瀬が頭で押し込みました。

さらに1分後、クイックリスタートから大野が高瀬にスルーパスを通し、高瀬がファーサイドにパスを送ると、詰めていた川澄が決めてリードを広げます。コノミヤは壷井綾子と佐藤楓が体を投げ出しましたが及びません。

19分には鮫島のクロスを大野がスルーし、高瀬がシュートを放ってポストをヒット。22分には鮫島が大野とのパス交換で崩してシュートを打ち、村岡愛美がセーブします。流れは完全にINACが握っていました。

すると23分、川澄のCKをニアサイドで田中明日菜が競り、ファーサイドでフリーの状態だった大野がヘディングシュートを決めます。虎尾直美が田中の動きに引きつけられ、大野のマークを外してしまっていました。

これで楽勝ムードが漂うかに思われましたが、コノミヤは最終ラインの枚数を増やして守備意識を強めます。それによって、INACが攻撃の場面で手こずるようになりました。またボランチのところでときどきミスが見られだし、中盤で引っかかるようにもなりだしました。

そんな中で迎えた37分、成宮唯のシュートを川澄がブロックしてこぼれたボールを北川が豪快に振り抜き、コノミヤが1点を返しました。

後半になってもコノミヤの守備は安定しており、加えて高い位置から体を寄せてホームチームに自由を与えないプレーを見せました。ディフェンスがはまりだすと、相手のミスに乗じてカウンターを仕掛ける場面も増えてきました。

対するINACは5枚のディフェンスが待ち構えているためにサイドを崩せず、また選手の動きも少なく、打開することができません。途中出場の京川舞が左サイドハーフの位置にとどまらず、広範囲に動いてかき回す姿が見られましたが、終盤に入るにつれて全体的に立ってパスを待っている選手が多くなっていきました。

結果、後半34分の京川の個人技からのシュート以外に決定機をつくれず、後半はスコアが動きませんでした。立ち上がりの連動したプレーがすばらしかっただけに、前半半ば以降の失速は今後の課題となりそうです。