前半、雨水を含んでボールが止まりやすいピッチの上で、日本は浮き球のパスを相手最終ラインの背後めがけて入れてチャンスをつくりました。

前半13分には宮間あやが、31分には有吉佐織がそれぞれ前線に抜け出る阪口夢穂、大儀見優季を狙いましたが、惜しくもゴールにはなりませんでした。

守備では山根恵里奈の好判断が光ります。17分、有吉が足を滑らせたためキム・ウンジュの縦パスが通ってしまい、ラ・ウンシムにクロスを入れられますが、山根が右足を伸ばして防ぎました。また、27分には岩清水梓がイ・チョンシムにボールを奪われ、スルーパスを入れられるも、飛び出した山根はボールを弾いてラ・ウンシムに当ててゴールキックにしました。

こうして前半はスコアレスのまま終了しました。

ハーフタイムが明けると佐々木則夫監督は、左MFを務めていた鮫島彩に代えて岩渕真奈を右MFに送り込み、その位置にいた中島依美をボランチに、そして宮間をボランチから左MFにそれぞれ配置換えしました。

すると日本は少しずつゴールに近づいていきます。まず後半11分、近賀ゆかりの縦パスを受けた岩渕がキム・ウンジュをかわし、宮間との大きなワンツーでゴールに襲い掛かりました。ここは宮間のリターンが高く、岩渕は体を伸ばしましたが届きませんでした。

26分には近賀のクロスに大儀見がヘッド。これはキム・ナムフィが体をつけていたため、ヒットしきれず、ホン・ミョンフィに難なくキャッチされます。 さらに31分、有吉のクロスに中島が飛び出して頭で合わせるも、惜しくも枠をとらえきれませんでした。

そして35分、なでしこらしい見事な展開から先制点を奪います。パスを繋いで一旦は阻まれますが、ルーズボールを中島が拾って、やや中央に絞っていた有吉に預けます。有吉は前方の横山久美にパスを送り、横山は体を張ってボールを落とします。最後は宮間がクロスを入れた先にいた岩渕が頭を合わせてゴールネットを揺さぶりました。

一方、ディフェンスではキム・ウンヒャンのCKからピンチを招きますが、懸命の守備で失点を免れます。15分、大儀見のマークを外したキム・ウナのボレーシュートが近賀に当たってコースが変わるも、山根が頭で防ぎました。

37分にもキム・ウナ、ラ・ウンシムと頭で繋いでシュートを打たれましたが、宮間がゴールライン手前でクリアして同点弾を許しませんでした。

試合はこのままタイムアップを迎え、1対0で勝利を収めました。ディフェンスではどんなにピンチになろうとも粘り強く、ひたむきに守って凌ぎ、攻めではボールを繋いで崩して勝つ。これぞなでしこジャパン、という90分でした。

そして、リオ五輪出場こそ逃してしまいましたが、予選を3位で終え、世間に吹き荒れる敗因分析という名のなでしこバッシングに対抗し、選手達はピッチの上で結果を出してみせました。このようなサッカーを続けることで、再び彼女達の道は開かれるはずです。