序盤は青山敏弘を軸にロングパスを織り交ぜながら、得意のサイドを使った攻撃で攻めようとした広島でしたが、川崎の統制のとれた硬い守備に阻まれ形をつくりきれませんでした。

逆に決定機こそ与えなかったものの、パスサッカーを標榜する川崎のスピーディーでテンポのいいボール回しに振り回される場面が続きました。3年連続得点王のエース、大久保嘉人にも前半3分、11分と積極的にシュートを打たれました。

どちらかと言えば流れのよくない中、広島はセットプレーでチャンスをつくります。19分、茶島雄介のCKを佐々木翔が頭で合わせるも、ここは新加入のチョン・ソンリョンが冷静に防ぎました。

さらに45分、柴崎晃誠の変化をつけたCKに、大外にいた佐藤寿人が反応。今年の天皇杯決勝でガンバ大阪の遠藤保仁とパトリックが見せたような形で、佐藤がフリーでシュートを放ちます。ところが、塩谷司のマークについていた奈良竜樹が体を投げ出してブロックします。

エンドが変わっても攻めあぐねていた広島が失点を許したのは、スコアレスドローの可能性も色濃くなっていた後半39分でした。センターサークルで青山が中村憲剛にボールを奪われると、一気に攻め込まれます。そして中野嘉大が千葉和彦の股間を通すパスを入れて、最後は小林悠がフィニッシュ。林卓人は顔で防ぎましたが、及びませんでした。

前年王者もチャンスがなかったわけではありません。後半に入ってからはクロスを増やし、人数をかけて攻める姿勢を見せていました。

16分には青山の精度の高いパスを受けたミハエル・ミキッチのグラウンダーのボールに対し、柴崎が佐藤の空けたスペースにうまく入って合わせる場面がありましたし、終盤にはシャドーの位置ではなく、最前線に入ったピーター・ウタカが意欲的にシュートを狙っていくシーンがありました。佐藤に代わって入った浅野拓磨も、持ち味のスピードを生かしたプレーを披露しました。

しかし、これで広島はホームでの開幕戦を落とし、黒星スタートとなりました。やはり連覇への道は簡単ではありません。