前後半90分を通じて、試合をやや優位に進めていたのはイランの方でした。攻撃ではあまり時間をかけることなくシンプルに繋ぎ、最後は最前線のアルサラン・モタハリが日本ゴールに襲い掛かります。成功こそしなかったものの、カウンターもたびたび仕掛けてきました。

チャンスの数はイランが多く、後半12分にはアリ・アブドラザデのクロスをファーサイドにいたミラド・モハンマディが頭で合わせ、クロスバーを叩く場面がありました。

ディフェンスにおいては中盤でのつぶしが速く、遠藤航を軸にしたテンポのいいボール回しを許してもらえません。結果、攻めあぐねた日本は最終ラインから大きく蹴り出すだけというシーンも目立ち、なかなか決定機をつくることができずに時間が流れていきました。

膠着した状態が続き、試合は延長戦にもつれこみました。そこでようやく遠藤が攻撃に絡みだすようになり、攻撃にリズムが出てきます。

延長前半6分、遠藤から原川力、室屋成と渡り、室屋が左足で完璧なクロスを上げると、それに対して途中出場の豊川雄太が頭で合わせて先制します。 この試合でほとんど初めてと言っていい絶好機をものにしました。

あとがなくなり追いかける立場となったイランは、果敢にペナルティエリアに進入してきます。17分には中央を崩してセイド・モフセン・カリミがシュートを放ちますが、櫛引政敏が身を挺して防ぎました。

再び苦しくなった日本を救ったのは、中島翔哉でした。延長後半4分、5分と立て続けにペナルティエリアの角付近からシュートを放って決めました。どちらも思い切りのいいすばらしいゴールでした。

当然、前掛かりになるイランに対し、日本は浅野拓磨を生かす狙いもあって、最終ラインの背後を狙って攻め続けていきます。4点目は奪えなかったものの、相手の勢いと体力を奪うには十分効果的な攻めでした。

これでリオ五輪出場にまた一歩近づくことができ、6大会連続出場に向けて、チームに勢いのつく一勝となりました。